第3話 婚活パーティーです お嬢様

お嬢様からの求愛をお断りし続けて数ヶ月…残暑の残るある日の事、名家の子息令嬢の集まるパーティーへの招待状が届いた。ガーデンテラスでシフォンケーキを嗜むお嬢様に参加はどうするかと声をかければふわりとウェーブをかけた髪を揺らし彼女は此方を振り返る


「何言ってんのよ。行くに決まってるじゃない」


「畏まりました」


「で?今回はどんなパーティーなのかしら?」


「婚活パーティーだそうです」


「なんて?」


「婚活パーティーだそうです、お嬢様」


私の言葉に眉を顰めたお嬢様。もう一度言うが、やはり理解出来ていないらしく首を小さく傾げているので、私は持っていた招待状を彼女の前に差し出した


「婚活パーティー、と書いてあるのが読めますか?…簡単に言えば名家の子息令嬢同士で集まり結婚相手を探すパーティーです」


「読めるし分かるわよ!……じゃなくて、なにそのパーティー!……待ちなさい、やっぱり参加しないわ!不参加!今回は不参加!」


「何故です?パーティーはお好きでしょう?……それにお嬢様は可愛らしいお顔立ちをしていますので子息方の目を引けるかと思われますが…」


「そういう事じゃなくて……とにかく婚活パーティーなら参加しないわよ」


「先程は参加すると仰ったではありませんか」


「さっきはどんなパーティーか聞いてなかったから言ったの。こんなパーティーって知ってたら不参加って最初から言ったわよ」


「然しお嬢様、もうお返事を返してしまいました」


「……アンタの仕事の早さを今だけ恨むわ」


それが取り柄ですので、と微笑めば彼女の口から盛大にため息が零れる。頬杖をつき空を見上げるお嬢様は暫く考えたあと「分かったわよ」とパーティーへの参加を認めたのだった








































┈┈┈┈┈数日後


ドレスに身を包んだお嬢様の手を取り、迎えのリムジンへと乗り込む。旦那様と奥様が数年前に他界したお嬢様に兄弟姉妹は居らず、付き添いは嫌でも私となるのだ


「緊張していますか?」


「してないわ…してないけど…約束、忘れてないでしょうね?」


「勿論、忘れておりませんよ」


問われた言葉に笑顔で返せばお嬢様はホッとした表情を見せる。彼女の言う約束は、パーティーへ参加する代わりに出された条件の事








…パーティーが終わるまでの間、何があろうとお嬢様の傍を離れない。それが私が交わした彼女との約束…というより交換条件だ



















然し、お嬢様はどうやら少しばかり抜けているらしい


















そんな約束を交わさずとも、私が貴女の傍を離れるつもりは最初からないというのに

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