第2話 諦めてくださいお嬢様
「執事にフラれた私は生きる価値もないわ…」
雨降る日…今日もまた婚姻届を突き付けてきたお嬢様にお断りの返事を返せば、彼女はふてぶてしい姿でソファに寝そべり始めた
「はしたないですよお嬢様、本日の下着がみえてます」
「アンタ遠慮しないわよね………あ、でも別に執事になら見られてもいいわ」
「私は見たくありません」
「どういう意味よぉおお!!」
「そのままの意味です。見たくありません」
お嬢様の散らかした洋服を拾い上げながら会話を交わす。彼女はガバッと起き上がり私をキッと睨み付けるので思わず小さなため息を零してしまった
「…ではお嬢様、私が貴女を含めた異性の下着を好んで見たいと言ったらどう思いますか」
「変態」
「でしょうね。それならば私が先程の様な答えを貴女に返しても何ら問題はない筈です」
何か間違っていますか?と問いかければ彼女は小さく呻き肩を竦めた。だって…と口を尖らせる仕草は幼い頃から変わっていない。今年でお嬢様は20に成られる…この国では結婚しても良い歳。現にお見合いの話も既に何件かきているのだから、いい加減私の事は諦めて欲しい
「貴女様に相応しいお相手がすぐに出来ますよ」
「……私は執事が良いんだもん」
「お嬢様……」
「私が好きなのはアンタなんだもん…だから…」
「お断りします」
「即答!?普通そこは優しい言葉をかけてくれるところよね!」
「お断りします」
「2回も言わないでくださるかしらぁあ!」
キャーと叫ぶお嬢様に頭を下げ、私は洗濯物を持ち洗濯場へと足を運ぶ。赤いカーペットが主張する長い廊下を歩きながら再び零れたため息は、誰もいない廊下の先に静かに消えていった
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