第15話 準備(3)

 アオイのステータスを見せてもらった。


————

【名前】アオイ

【レベル】63

【HP】※リアルの為ありません。

【MP】※リアルの為ありません。

【魂印】

 アンスール:神・言葉・知性

【スキル】

 ヌイの大木

  ├── 鑑定(大)

  ├─ 世界辞書(中)

  ├─ 解読(中)

  ├─ 身体能力向上(中)

  └┬─ 四属性魔法(大)

   └─ 魔道の極み(中)

 ググルの若木

  ├─ 翻訳(中)

  └─ 索敵(中)

 魔道の杖

 ・魔力効率向上(中)

【装備】魔道の杖、布の服、村人の靴

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「れ、レベルが63! アオイってそんなに強かったんだ」


「ふっふふふふ。お姉ちゃん、私は強者なのだよ」


「ちょっと待て。この装備は何なんだ? どうして杖以外は初期装備なんだ。アクセサリーとか持ってないの?」


「クラン辞めるときに没収された。杖は自分で買った物だから無事だった」


「それって、クランの装備を借りてたってこと?」


 ミドリがアオイに質問した。クラン運営の参考にしたいのかな。


「ドロップ品や宝箱から見つけたアイテムはクランが分配してた。貴重品に関しては、不要になったらクランに売る決まり」


「なるほどね。一応は個人の所有物だけど、クランの外に出せないようになっているのね。参考になったわ」


 アオイは魔法使い系のビルドなんだな。

 スペルが使えない俺と相性は良いな。


「次は私の番ね。2人の後だと、正直見せたくないんだけど……」


————

【名前】ミドリ

【レベル】1

【HP】90

【MP】30

【STR】E

【VIT】D

【AGI】F

【DEX】F

【INT】F

【魂印】

 エオロー:守護・仲間

【スキル】

【装備】布の服、村人の靴

————


「こんなにステータス表記が違うのか……」


 ノルン。念のため各ステータスに意味を教えてくれ。


『説明するわよ。【STR】は力よ。攻撃力や重いものを持てるようになるわ。【VIT】は生命力。防御力やHPの量に影響するわね。【AGI】は俊敏性。早く走ったり敵に攻撃を躱しやすくなるの。【DEX】は器用さ。モノ作りに大きく影響するから生産系にとっては超重要よ。弓矢の命中率にも影響するわ。【INT】は知性。スキルの威力や発動時間に影響するわ』


 ありがとう。魂印がステータスに影響してるんだろうな。


「こんな感じなんだけど、しょぼくてごめん」


「いや、むしろ俺はかなり理想的だと思ったよ。俺とアオイの弱点を補えるキャラになれる!」


「テンマの言うとおり。お姉ちゃん、すごいの選んだ」


「そうなの!? 私はどんなキャラになればいい?」


「「タンク!」」


「タンク?」


 そうだった。ミドリは全然ゲームやらないんだった。


「盾職のことだよ。敵の注意を引きつけてみんなを守る役だ。俺とアオイは【リアル】のせいで痛覚があるから相手の攻撃を受けられない。腕が折れれば、本当に折れた痛みを感じるからね」


「そ、そうね。私ならダメージ受けても痛みは感じない。けど、タンクなんているの? さっさと攻撃で倒せばいいんじゃないの?」


「私、近距離で戦えない。だから、私を守る人が必要。それがお姉ちゃん」


「弱い敵ばかりじゃないからな。それに、このパーティーにタンクは絶対に必要だ。無理にとは言わないけど、ミドリがタンクを極めてくれると本当に助かるよ」


 それに、死んでも復活できるのもミドリしかいないからな。


「わかったわ! 私にまかせて!!」


 ミドリがタンクビルド向きの魂印を選んでいてくれて、本当にラッキーだった。

 これでなんとなくパーティーの方向が見えたな。


 ◇


「そろそろ武器屋で装備を整えてダンジョンへ行くか。アオイは鑑定スキル持ってたよな。目利きお願いできるか」


「うん。まかせろ。テンマの装備、今見ようか?」


 俺はアオイに頼み、見てもらうことにした。


「ヴァンパイアナイフ、ナイフ、ブーツが2つ、指輪、ネックレス、ビキニアーマー、盾、小手、帽子が2つ……あっ、チュートリアルで拾った装飾品の剣と盾もあったな」


「テンマ。これどうしたの? まさか盗んだんじゃ……」


 まあ、この統一感のないアイテムを見せられたら、普通はそう思うよな。

 俺はアキバでカツアゲにあって、返り討ちにした話をすると納得してくれた。


「この中で特殊効果があるものだけ説明する。あとは私が振り分けてもいい?」


 俺とミドリは頷いた。数値が見えるアオイに任せるのが確実だろう。


「まずはヴァンパイアナイフ。スキル付きの武器。ん? 嘘でしょ。まさかのユニークアイテム!?」


 アオイは口を大きく開けたまま俺を見る。

 ユニークアイテムというのは、ゲーム内で1つしか存在しないアイテムのことで、どれもチート級の性能らしい。


「性能も凄い……血を吸わせると寄生種のように成長する。きっとスキル増える。闇属性。これはテンマが装備する」

 

 ヴァンパイアナイフに付いているスキルはこんな感じだった。

 【吸収率向上(小)】スキル経験値の取得できる量、回復やバフなどの効果が上がる。

 【エナジードレイン(小)】刃に触れた相手のHP0.1%分のダメージを与える。与えたダメージ分、持ち主を回復する。

 【自己修復(小)】相手にダメージを与えると、武器の耐久力が回復する。


 さすが宝福堂ほうふくどうのSSR武器。

 ロマン溢れる武器だった!


「次はこの装飾品だった盾。名前はナイトシールド。【ヘイト向上(小)】がついてる。防御力もかなり高い。テンマ、いいの拾った」


 よしっ! あのときの自分を褒めてあげたい!


「同じく装飾品だった剣。名前はナイトソード。【ヘイト向上(小)】が付いていて、攻撃力もそこそこある。剣で盾を叩くと【挑発(小)】スキルが発動。テンマ、良くやった」


 マジか……今度からもいろいろ拾った方が良さそうだな。


「あとは、このビキニアーマー。【回避率向上(小)】がついてる。はい、お姉ちゃん」


「……え? これ私が着るの?」


「アバターだから気にしない。見えても大丈夫。防御力も意外と高い」


 あ、アオイさん。あなた一体何を言ってるんですか?

 ミドリも言い返せず撃沈していた。


 思ったよりドロップ品はゴミばかりだったな。

 初期装備よりはマシなので、アオイに分配してもらった。

 俺達の装備はこんな感じになった。


————

【名前】テンマ

【装備】ヴァンパイアナイフ、ナイフ、布の服、皮の帽子、皮のブーツ

————

【名前】アオイ

【装備】魔道の杖、布の服、村人の靴、胴の指輪、赤いネックレス

————

【名前】ミドリ

【装備】ナイトソード、ナイトシールド、ビキニアーマー、鉄の小手、皮の帽子、皮のブーツ

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