第3話 初級試練 ヌイの祠(1)
俺は【いいえ】をタップした。
ノルン教えてくれ。この部屋にあるアイテムは、なんとかの祠とかにも持っていけるのか?
この場所って、ゲームを始めた直後しかこれなそうだからな。
このタイミングでしか取れないアイテムは今取らないと。
『面白いアイデアね。わたしもわからないから、とりあえずアイテムボックスに入れてみたら?』
アイテムボックス? なんだそれ。
『普通は手でステータスパネルを操作するんだけど、テンマはわたしが左目にいるから、きっと頭で考えるだけで操作できるはずよ。ステータスって念じた後に、アイテムって念じてみて』
俺は言われた通り、ステータスって念じてみる。
そうすると、頭の中にステータスバネルが表示された。
さらにアイテムと念じると、頭の中でアイテムパネルが開く。
ちょっとまて。
ネットの情報だと、目の前にパネルが表示されてた。
今、俺の頭の中に表示されたぞ。
『わたしを左目に入れたことで起きた現象だと思うの。これってすごいことよ!』
そ、そうなのか……というか、さっきから初めて知ったかのような口振りが目立つけど、俺のナビーは本当に強キャラなんだよな……
部屋の壁に、剣と盾が飾ってあったので取り外す。
『んなっ! ちょ、ちょっと今何したのよ? それって取り外せないオブジェクトのはずよ』
ん? 普通に外せたけど。
壁に掛かってるだけなんだから、普通に取り外せるだろ。
『そ、そうなのね。さすが【リアル】だわ。テンマの発想も普通じゃないと思うけど』
俺はこの剣と盾を装備してみた。
……重いな。何キロあるんだこれ。
持っていると辛いので、アイテムボックスに収納することにした。
やり方は簡単だった。手に持ち収納と念じればいい。
その他には、投石に使えそうな石も収納しておく。
もうそろそろいいだろう。
俺はこの部屋にきたとき立ってた場所へ戻る。
すると目の前に文字が現れた。
『これよりゲーム内での身体の動かし方を学びます。【初級試練 ヌイの祠】部屋の中にいる魔物を倒せば、扉は開き部屋から外に出られます。準備はいいですか? 【はい】【いいえ】』
俺は【はい】をタップした。
◇
『【初級試練 ヌイの祠 0/5】』
まわりの風景が変わった。
さっきまでと同じ石造りの部屋だが、少し広くなり20メートル四方の部屋になっている。
部屋の中央には、液状の魔物がいた。
あれはスライムだよな?
『そうよ。アレはこのゲームで最弱の魔物スライムよ。魔物のステータスを見たいと念じてみて』
ノルンに言われた通り、スライムを見ながらステータスと念じる。
【名前】スライム
おい。名前だけかい!
弱点やHPとか、その他の表示はどうした?
『テンマ。今のあなたではこれ以上は無理よ』
なるほど、出来なくはないんだな。
まあ、今はスライムを倒すとするか。
スライムが俺に向かって液状の身体をくねらせながら近寄ってくる。
移動速度は遅い。そう思ったとき、スライムは液体を俺に向かって飛ばしてきた。
俺は余裕で躱す。
身体は現実世界と同じように動かせる。
なにこれ……ゲームの世界とは思えない。
マジ感動する。フルダイブ式VRが流行るわけだ。
液体の飛んだ先を見てみると、床が白い煙を上げながら溶けだしていた。
スライムのくせにヤバすぎるだろ!
ビビる俺をめがけて、スライムは液体を次々と飛ばしてくる。
はっ! ふっ! ほっ!
動作が遅いから余裕で交わせるが、接近したくないな……
なんだあれ……ときどき体内に赤い石みたいなものがチラつく。
アレは核か? 液状モンスターの倒し方あるあるだな。
『ふっふふふふ。テンマ苦戦しているみたいね。わたしが攻略のヒントを教えてあげるから感謝しなさい。スライムの体内に——』
俺はアイテムボックスから石を取り出し、スライムの核めがけて投げる。
石が核に命中し破壊するとスライムは黒い煙となって消えた。
よしっ! 我ながらナイスコントロール!
『な、な、ナイスコントロールじゃないわよ! この試練はスライムが小さくなるまで体液を躱し続けて弱ったところを、あそこにある槍を使って倒すことになってんのよ!』
スライムがいた場所に、キラリと光る小石が落ちていた。
『あっ、そ、それからね。魔物を倒すとアイテムをドロップ——』
俺はスライムがドロップした小石を拾った。
小石の情報を見ると【ヌイの魂】という名前だった。
『ちょ、ちょっと待って。ここを初めてクリアするとボーナスが——』
ピロンという音と共に、目の前にメッセージが表示された。
『【初級試練 ヌイの祠 1/5】 初回クリアボーナスとして【ヌイの寄生種】が与えられます。アイテムはメールで送られます。忘れずにご確認ください』
おおっ、クリア報酬をもらえたぞ。
さっそくメールを確認するか。
『だぁぁぁぁぁぁぁぁ! ちょっと待ちなさいって言ってるんでしょうが!! あんたね。わたしはナビーなのよ! しかもここはチュートリアルなの。なんで話し聞かないで進めてるのよっ!』
え、あっ……いや、ゲームなんてそんなもんだろ?
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