第2話 ノルン
「ここに並んだ【アカシックマーク】から1つ選んでください」
目の前に、象形文字のようなマークが横一列に並んで表示された。
真ん中の空白を中心に、左右12個ずつ並んでいる。
この24個のマークから、好きなものを1つ選べってことだな。
これはネットの攻略サイトに情報が載っていた。
アカシックマークはそれぞれのマークに意味があり、プレイヤーの成長スタイルに大きく影響する。
このゲームは、スキルを覚えるのに【寄生種】と呼ばれる種を使う。
同じ寄生種でも、選んだアカシックマークによって覚えるスキルが変わるのだ。
だから、攻略サイトでは『アカシックマークは種を植える【土壌】』と例えられていた。
俺は事前にネットで調べ、【ティール】のマークを選ぶと決めていた。
意味は勝利・勇気・正義だ。
やはり勝利にこだわらないとな。
えーと……あった。このマークだ。
ん? ちょっと待てよ。
この真ん中にある空白もマークだったりして。
俺は半分ボケのつもりで、真ん中の【空白マーク】をタップしてみた。
「あなたのアカシックマークは【ブランク】に決まりました。それでは、あなたの旅のお供にナビーを授けましょう。ナビーはあなたが選んだアカシックマークの力で産み出されます。困ったことや分からないことがあれば、ナビーに聞いてください」
は?
ちょ、ちょっと待ってくれ。
今のなしにしてくれ!
冗談で押してみたんだよォォォォォォォ!
く、くそっ。
いきなりキャラリセットしたい案件が発生してしまった。
聞き逃したが、ナビーがどうとか言ってたよな……
ナビーって、ゲームの操作方法とかを教えてくれる相棒みたいなやつだっけ?
…………
どうした? 何も現れないぞ。
ん? なんだ……気のせいか?
何か目の前の空気が揺らいでるような……
俺は近くで見ようと一歩前に出る。
ペタっ
へ? 俺の左目に何か透明な膜のようなものが貼り付いた。
ちょっと待て、なにが起きた?
なんか左目がぼやけるぞ。
手で左目を擦ろうとしたときだった。
「ぐっぎゃゃゃぁぁぁぁあああ!」
痛え。痛えよ。なんだこれ!
左目が焼けるように痛い。ぐぬぅぅぅぅぅぅぅ。
まてまて、おかしい。これゲームだろ。
なんで痛感があるんだよ!?
俺は左目を閉じ、しゃがみながら苦しんでいると、痛みが嘘のように消えていった。
はぁ、はぁ、はぁ……嘘だろ……
みんな、こんな痛みに耐えながら遊んでいるのか?
『それはあんたが【リアル】を選んだからよ』
なんか女の声がしたような……
『気のせいじゃないわ。わたしはあなたのナビー。名前はノルンよ。わたしを選ぶなんて、あんたなかなか見どころがあるわ』
どこにいるんだ? 見えないんだけど。
『決まってるでしょ。あんたの左目のなかよ。自分で左目にわたしを貼ったんでしょ。そんなところにわたしを貼るなんて……あんた只者じゃないわね』
……左目の中って、まさかあの透明のフィルムみたいなやつがナビーだったのか?
俺の選んだアカシックマークは
だから、ナビーも透明?
『さすがわたしを選んだだけあるわ。正解よ!』
ちょっと待て。ナビーってステータスパネルと一緒に表示されて、ゲームの操作方法とか教えてくれるキャラだよな?
俺はステータスパネル開いてないんだけど。
『ちょっと違うわね。ナビーはプレイヤーとゲームをつなぐキャラよ。だからステータスパネルだけじゃなくて、アイテムボックスとかメールとかも全てナビーの機能よ』
そ、そうなのか……
けど、俺が言いたいのは、何かイレギュラーなことが起きてないかってことだ。
『しょうがないじゃない。本来ならナビーが自己紹介して、ステータスパネルの使い方を説明するはずだったのよ。そんな運命的な出会いのシーンを、あんたがわたしを体内に取り込んで台無しにしたのよ』
……体内に取り込んだとか。
それって大丈夫なんだよな?
まあゲームだから気にしなくてもいいか。
『今も心の中だけで会話してるでしょ。これって凄いことよ。普通はステータスパネルを開いたときしか、ナビーと話せないんだからね』
普通はできないこと……
もしかして、レアアイテムをゲットして自己強化したと考えれば最高の結果ともいえるのか!?
『ええ。こう見えてもわたしは強キャラよ。あなたは勝ち組なのよ。これからよろしくね。テンマ』
強キャラか……素敵な響きだ。
それにしても、さすが最先端のゲームだ。
さてと、ゲームを進めるか。
俺がそう思うと目の前にメッセージが表示された。
『これよりゲーム内での身体の動かし方を学びます。【初級試練 ヌイの祠】部屋の中にいる魔物を倒せば、扉が開き部屋から外に出られます。準備はいいですか? 【はい】【いいえ】』
――――――――――――――――
後書き失礼します!
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
少しでも面白いと思ったり、続きが気になる方は
★をクリックして応援していただけると嬉しいです!
これからも、よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます