第20話

 ランジェリーショップを出て、その後も色々なお店を見て回った。ウィンドウショッピングって言うのかな?こういうの。とっても楽しかった。


 つぼみちゃんが選んでくれた私の下着は、実を言うとまだ私はどういうデザインなのか見れていない。

 カノジョに「それはあとで!」と真っ赤になりながら言われてしまったから、楽しみにしている。


 そして今、私たちはデートの終盤に差し当たる。


「きょ、今日は…………た、楽しかったね」

「そうだね」

「お、お昼に食べたパスタも!よ、夜ご飯に食べたオムライスも!お、美味しかったね!!」

「そうだね。とっても美味しかった」


 私たちは今日、ランチを私が予約していたカルボナーラの美味しいお店で。

 ディナーをつぼみちゃんが予約していたオムライス専門店でいただいた。


 淡々とした受け答えにはなってしまったけれど、本当に美味しかった。また食べに来たいとリピートを切望するほどには、美味しいと思っている。

 ただ、「そうだね」と少し淡白な返答になってしまったのはそれ以外にあの美味しさをどう表現すれば良いのか、分からなかっただけ。

 忘れてるかもしれないけれど、私、コミュ障だから。


「え、えとえと。あっ、ピアス!お揃いにしてくれてありがとう!!」

「私がつぼみちゃんとお揃いのピアスにしたかっただけなんだから、お礼なんていいよ」

「で、でもでも、桃花ちゃんピアスの穴あけて無いのに………」

「私があけてほしいって言ったら、つぼみちゃん、あけてくれる?」

「……………へ?」

「いや?」

「あ、あける!全然あける!むしろいっぱいあけちゃう!!」

「い、いっぱいは………やだなぁ」

「あぅ………」


 つぼみちゃんは先からオロオロ、モジモジとしていて落ち着かない様子。それに対して私は振る舞いこそ淡白になってしまっているけれど。内心は大パニックだ。

 ただ、お互いが沈黙を避けていることは確か。


「あ、あとは、えっとえっと。も、桃花ちゃんの私服、か、かか、可愛いね!」

「ほんとに?今更な感じはあるけど、とっても嬉しい。ありがとう」

「う、、うん((´ฅω•ฅ`)チラッ)」

「ふふふ。つぼみちゃんも今日は一段と綺麗で可愛くて、すっごく素敵だよ」

「- ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́- ほ、ほんと!?や、やたー!嬉しい!!!」

「うん」

「わ、わーい!やたー!!ありがとう!」

「うん」

「や、やったー、やったー、、あ、あはは」

「…………」

「………………あぅ」


 ふふふ♡可愛い。

 少し意地悪をしてしまった。

 つぼみちゃん、薄々気づいてはいたけど、この後のホテルへの誘い方が分からないんだよね。さっきからずっと、どうやって誘おうか必死に考えて会話を繋げようと一生懸命になってるのが、とても愛らしい。


 けど、私がそのことごとくを淡白な反応で最低限の会話にしてしまっているせいで、つぼみちゃんは会話の糸口を掴めずに泣きそうになってしまっている。

 大丈夫だよ。泣かないで。

 悪いのは私なんだから。


 だから、私はそんな一生懸命なカノジョに、今日はデートのリードから何まで、「ありがとう。よく頑張りました♡」というお礼とご褒美の意を込めて、つぼみちゃんの腕に抱きついた。


 それはもう、むぎゅ、っと。



「ねぇ、つぼみちゃん」

「ぅ、ぅえ?」

「私ね、つぼみちゃんのこと大好き」

「ぅえ!??」

「だからね?…………」



 カノジョの耳元に口を寄せて、



「抱いてほしい」



 そう囁いた。


「ホテル、行こ?」

「ぅ、、ぅん/////」



 デートはまだ終わらない。





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