第15話
もうあとは、笠井さんが来るまで待ち合わせ場所のカフェでまったりとアイスコーヒーでも飲んで待とうと、二人席をとってモダンチックな椅子に腰を下ろした。
喜んでくれるかな。笠井さん。
私はバッグの中にしまった可愛らしくラッピングされたそれを見て微笑んだ。
待ち合わせ時刻まで、あと25分弱。
笠井さんが来たら、すぐにこの日頃から仲良くしてくれてるお礼を渡した方が良いのかな。
いや、こういうのは解散する直前???
うーん、なにせ今の今まで友達と呼べる者を作ったことが無かったから、、かなしきかな。そういう知識はからっきしだ。
うんうんと頭を悩ませながら、私はアイスコーヒーを一口含んだ。冷たくて美味しい。
待ち合わせ時刻まで、あと15分弱。
決めた。サプライズは解散する直前にしよう。その方が、きっと今日という日を笠井さんにより印象強く残せるはずだから。
今から解散のことを考えてるとは、私としても、自分はこれで良いのかな?と思わなくもない。
けれど、これもそれもあれもどれも全部、笠井さんのためだ。笠井さんが喜んでくれるためのサプライズ。
―――笠井さん、喜んでくれるかな?
そういえば笠井さんは、今日のお出かけを''デート''なんて素敵で、でも少し距離感がおかしい名称で呼んでいたけれど。
笠井さん、私服はどんな感じなんだろ。
きっと、オシャレなんだろうなぁ。
いやでも、いつも寝癖とか気にしないで登校してるし、案外オシャレには無頓着だったり?
それはそれで、解釈一致かも。
そしたらそしたら!
この後の予定は、笠井さんをコーディネートしてお洋服屋さんをいっぱい見て回るのも、なんだか友達との付き合い感があって憧れる!
私はそんなまだ見ぬ笠井さんの私服にあれこれと妄想を膨らませながら、アイスコーヒーを再び口に含んだ。
コップにはたくさんの水滴がついてるけど、相変わらず冷たくて美味しい。
待ち合わせ時刻まで、あと0分。
ちょっと意外かな。
笠井さんから誘ってくれたっていうこともあるし、それに笠井さんなら、何分か前には来ると思ってたんだけど。
待ち合わせ時刻になったし、もう来るかな。
楽しみだなぁ。
笠井さんの私服。
私はいつの間にか3分の1にまで減ったアイスコーヒーを一口、また口に含んだ。
最初みたいな冷たさは感じられないけど、まだ十分に冷たくて美味しかった。
待ち合わせ時刻を過ぎて、約30分。
さすがに、おかしいよね。
何かあった、、のかな?
少し不安になってくる。
メッセージにも何も連絡が来ないし。
事件に巻き込まれてる可能性も出てくる。
どうしよ。不安だ。
私は落ち着くために、ぬるくなったコーヒーを二口ほど口に含んだ。
もう無くなりそうだ。
待ち合わせ時刻を過ぎて、約45分。
ピコン!
笠井さんからメッセージが届いた。
『本当にごめん。昨日の夜、今日が楽しみすぎてなかなか寝付けなくて、寝坊しました。今急いで向かってる。着いたら如何様な罰もお受けしますm(_ _)m』
そんなメッセージを見て、私が抱いた感想は。
―――笠井さんが無事で本当に良かった
だった。
無事を確認できたら、少し余裕を取り戻せた。
それに、楽しみで寝れなかったって言われて、少し喜んでる自分もいた。
『笠井さんが何か事件に巻き込まれてなくて安心しました。急ぐと事故に合うかもしれないので、ゆっくり来てください。私は待ち合わせ場所にずっと待ってるので、大丈夫です』
そう返信して、私はコーヒーの最後の一口を飲んだ。
『本当にごめんね。あと30分はかかる』
『分かりました。待ってます』
あと30分か………
どうしよ。
実を言うと、私も人のことは言えないんだよね。
私も昨日の夜。実を言うと笠井さんと二人きりでお出かけをすることに無性に胸がドキドキしてしまって、なかなか眠れなかったのだ。
だから、実を言うと、、わたしも、、ねむた――――
笠井さんが無事だって分かって、安心したからかな?
私は急に眠たくなってきて、、、
そっと意識を手放した。
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