四日目
今日は給料日だから、晩ごはんをお寿司にした。近所のスーパーの、割引シールがついた握り寿司セット。十数種類もの寿司が、一種二貫で乗っている。割引のおかげもあって安く買ったが、実際テーブルに置いてプラスチックの蓋を開けると、やはり豪勢だ。こんなのを息子と二人で食べるとは、なんて贅沢。
ましてや息子の死体に食べさせるのだから、なんてもったいない。
しかし死んでるとはいえ息子は息子。腐り果てる前に、おいしいものをうんと食べさせなきゃ。
私は日本生まれ日本育ちの、生粋の日本人だが、残念ながら箸の扱いは下手くそ。だから、息子には寿司を手掴みで食べさせることにした。顎を掴んでグニャグニャと動かし、咀嚼させる。さっき送り込んだ寿司のにおいと、腐った内臓のにおいが混ざり合う。くさい…。
しまった、ワサビをつけずに食べさせてしまった。スーパーのお寿司はファミリー層狙いのために、最近ではワサビを寿司に入れておらず、代わりに“ご自由にお取りください”的なコーナーに置いてあることが多い。今回も忘れずに、ちゃんと持ってきたのに。…まあいいや。どうせ死んでるんだから、お腹壊すこともあるまい。
お寿司を食べ終えたら、恒例のお風呂タイム。
息子の肌は、昨日よりもさらに青くなってきている。それに全身がブヨブヨと膨らんで、なんだかブーブークッションみたいだ。
体を洗ってあげている途中で、
ブシュッ
と音がした。
見ると、息子の腹部が裂けて、真っ黒い液体と、赤紫のプルプルしたものが零れている。
私は、なんてことをしてしまったんだ!!
大急ぎで風呂場を飛び出し、裁縫箱を持って再び風呂場に戻った。
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