第7話

「私も好き。裕介のことが好き。」


 俺は何も分からなかった。今、姫乃は俺に好きと言った。冗談だと思いたいほど、

 信じられない言葉だった。だって、あの姫乃が、俺のことを好き?なぜなんだ…?

 俺は夢を見ているのか?俺は、夢かどうか確かめるために、自分の頬を引っ張った。


「いだだだ…」

「なにしてんのよ、裕介(笑)」


 夢じゃない、現実だ。尚更、なんで姫乃は俺のことが好きなんだ?


「俺今すっげえ混乱してんだけどさ、俺のどこが好きなの?」


 姫乃は少し笑いながら、


「そういう少しアホなところ!(笑)」


 と言った。なんだよそれ、と思ったが、嬉しかった。


「えっと…じゃあ…付き合ってくれますか?」


 俺がそう言うと、姫乃は俺の手を握って、


「喜んで!」


 と言った。俺はもう嬉しくてたまらなかった。俺はもう我慢がしきれなかった。


「こんな事言うのもあれだけど、その…いいか…?」

「え〜どうしようかな〜…ふふふ。いいよ!」


 俺は、姫乃と唇を交わした。

 俺たちは額をくっつけ合いながら、笑いあった。

 とても幸せな気分だ。もう言葉に表せないくらい嬉しい。


「裕介、まだ時間あるし、私の家来る?」

「え?!はずいんだけど…」

「なんでよ?(笑)この前まで普通に来てたじゃん?」

「この前と今は違うっていうかさ…」

「今日…親…いないよ?」


 姫乃おおおおお!!!!それ言わんでくれよおおお!!


「いや、俺一応男子だよ?」

「え、何?変なことでも想像したの?」

「?!し、してねえよ」

「じゃあ来れるよね〜?」


 姫乃は、昔から何も変わってないな。むしろ俺が変わっちゃったのかもしれないな。

 今日も今日とて、姫乃は世界一可愛くて、自慢の彼女だな。


 こんな俺って、やっぱり、幸せだな。

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