第3話 月光

小さなこの湖に大きな満月が映される夜、貴方にも見えているのでしょうか。


私は私をいつになれば許してくれるのでしょうか。ただただ湖を覗き込み、ぼうっと過ごしている。時間が流れていくのを感じないままで、ずっとあの時から変われないまま。

靴を脱いで、裸足になって、息を吸って、息を止めて...... それでも水中に飛び込むことが出来ない。この湖に溺れかけてから、泳ぐことが出来なくなった。息を吸えない恐怖に囚われて、身体はこわばり沈んでいく、そうなれば手足を動かすことすら億劫になってしまうと思うから。


指先で触れ、その冷たさに浸り、波紋を見つめているだけ、私の影で貴方の満月を曇らせやしないかと不安になります。

次第に輪郭がぼやけて、滲んでいく月光。貴方がいないとどんな月明かりでも冷たく感じてしまうのです。

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