第3話 月光
小さなこの湖に大きな満月が映される夜、貴方にも見えているのでしょうか。
私は私をいつになれば許してくれるのでしょうか。ただただ湖を覗き込み、ぼうっと過ごしている。時間が流れていくのを感じないままで、ずっとあの時から変われないまま。
靴を脱いで、裸足になって、息を吸って、息を止めて...... それでも水中に飛び込むことが出来ない。この湖に溺れかけてから、泳ぐことが出来なくなった。息を吸えない恐怖に囚われて、身体はこわばり沈んでいく、そうなれば手足を動かすことすら億劫になってしまうと思うから。
指先で触れ、その冷たさに浸り、波紋を見つめているだけ、私の影で貴方の満月を曇らせやしないかと不安になります。
次第に輪郭がぼやけて、滲んでいく月光。貴方がいないとどんな月明かりでも冷たく感じてしまうのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます