125. お絵描きと疵(きず)【回顧録】

 真野まのうおです。気が付けば、中学生の頃には小説を書き始めていた者です。


 小説とは言っても、シャープペンでノートに直書きした、とてもつたない代物でした。

 ページの余白に自分で挿絵を付けようと思い立ち、絵を描き始めたのは、それから間もなくのことでした。



◆お手本は自分


 一般的には、好きな作品や作家さんの真似をして、絵を上達させていくのが王道だと思います。

 ところが、真野にはその過程がありませんでした。目標やお手本とするべき絵柄を持っていないのです。


 これではいけない、と思い、とりあえず身の回りにあった漫画を参考にしたりもしたのですが、どうにも手に馴染なじまず。延々と自己流の道を歩むことになるのでした。


 絵に関しては、部活や教室などには一切通っていません。技法らしい技法を学んだのはデッサンの指南書ぐらいです。

 身近にあったファッションカタログやティーン誌(Sevent◯enとかP◯pteenとか)、時には洋楽のMVなどを参考に、ひたすら素描を重ねる日々が続きました。



◆嫉妬にジェラシー


 ところで、真野は十代の頃にMSXの雑誌を購読していたというお話を以前にしました(下記参照)。


★51. 追憶のMSX(1)

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330666692582734


 誌面には読者投稿のCGコーナーがあり、自分と同世代のローティーン、ミドルティーンの絵師たちによるハイクオリティな作品に心を打ちのめされました。


 皮肉にも、ちょうど今のSNSやお絵描きサイトでの様相と似ていますね。自分の絵はまだまだ全然大したことはないのだと、一目で分からされるのです。


 でも、絵を描くことをやめようとまでは思いませんでした。自分の中に描きたいという意欲がまだあふれていたのですよね……この頃はまだ。



◆振り返らない


 漫画『ルックバック』感想(別エッセイ)でも少し触れましたが、作中人物がひねもす机に向かい絵を描き続け、スケッチブックが山積みになっていく描写を、我が事のように思い返します。


 勿論、絵の腕前は雲泥の差(真野は泥の方です)ですし、高価なスケッチブックではなく、かき集めたチラシやプリントの裏紙でしたので、とても比較にはなりませんが。


 その後、色々あって筆を折りました。この辺りの経緯は、どう書き表しても暗い話にしかならないので、省略することにします。


 書き溜めた絵や画材は、何度目かの引っ越しの際に全部捨てました。

 全部捨てた……と思っていたのですが、小説用のネタ帳に落描きしてあったり、本やファイルの束に紛れていたものが、わずかに残ってもいます。



◆そして今


 そんな当時の夢の残骸を、たまに近況ノートに載せていたりします。小説の挿絵やキャラクター原案、漫画のネームなんかもあります。カラー絵や完成品は、ほとんど残っていません。


 ふとした気まぐれで、デジタルでのお絵描きに挑戦しようかな、と思ったこともありました。タブレットは持っていたので、某ペンシル(純正品)を買ったりなんかしちゃったりして。


 ですが、間もなく小説執筆に集中しすぎて、お絵描きのことなどすっかり忘れ去ってしまいました。

 数年もの間放置していた某ペンシルは、すっかり充電が効かなくなってお釈迦になりました。同時にモチベ消失で現在に至ります。


 ちなみに、真野は昔も今も字がへったくそです。空間を把握するセンスがいちじるしく欠けているのだと思います。絵がお粗末なことと関係あるかもしれません。

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