51. 追憶のMSX(1)出会い、それはビートルズ【回顧録】

真野魚尾(まの・うおお)です。お待たせしました。MSXのお話、ようやく本題に入ります。




◆MSXとの出会い


父親のパソコンを使いこなし(たつもりになっ)ていた小学校高学年の頃、とある電機店にあったパソコンゲームに目を奪われます。


ファミコンにも引けを取らない滑らかなグラフィックで動いていたソフトのタイトルは『夢大陸アドベンチャー』。可愛いペンギンが主人公のアクションゲームでした。


中学進学を控えていた真野は、しっかり勉強を頑張ることを条件に、後日そのパソコン「MSX」本体を親に買ってもらいます。以前話した『日本語大辞典』と同時期のおねだりです。




◆まのうおお は MSX2+ を てにいれた


くして自室に招かれたのは、当時最新の「MSX2+」という上位機種でした。


で、『夢大陸アドベンチャー』は? ……売り切れでした! 代わりのソフトを2、3本 (タイトル失念)買ってもらったと思います。


最もやり込んだのは『テトリス』。説明不要の覇権パズルゲーです。BGMが3種類ほどから選べました。真野のお気に入りは「カリンカ」。異国情緒を誘うメロディは、後年ワールドミュージックに興味を持つ遠因になったかも?


他にも欲しいゲームは沢山あったはずですが、小中学生の財力ではおいそれと買い漁るわけにはいきません。雑誌に載った綺羅きらびやかな画面写真を、指をくわえて眺めているしかありませんでした。




◆唐突なビートルズの洗礼


当時『MSX・FAN』『MSXマガジン』という2大専門誌が発行されていまして、真野も知り合いの本屋さんで両方定期購読していました。親には、パソコンのお勉強という名目で話が通っていたかと思います。


誌面にはゲームや音楽のプログラムが載っていました。それを自分で打ち込んでは友達と一緒に観たり、聴いたり、遊んだりしていました。


『MSX・FAN』の方には、読者が投稿したTHE BEATLESの曲がプログラムの形で掲載されていました。初めて読んだ号にあった「In My Life」が始まりだったと、はっきり記憶しています。


以後恒例となったそれら楽曲を試聴するのが、真野の毎月の楽しみとなります。


「Help!」「Blackbird」「Taxman」「I Feel Fine」なども『MSX・FAN』がきっかけで知った曲です。変わり種だと(音階を置き換えた)琉球風「All I've Got To Do」なんてのもありましたっけ。


ビートルズに受けた衝撃は真野を音楽へと深く傾倒させますが、それはまた別のお話。この場は割愛させていただきます。




◆『RPGコンストラクションツール Dante』


一方の『MSXマガジン』は、何かと叡智なゲームの記事が載っているイメージでした。真野は比較的おませさんだったので、大したショックはありませんでしたが、凌辱系が地雷になったのは、多分この頃の影響です。


それよりも強く興味を惹いたのが『Dante』というソフトの特集記事でした。これはオリジナルのロールプレイングゲームを作れる、今で言う「RPGツクール」の元祖的な存在にあたります。


後年、真野も実物を手に入れ、自分だけのRPG製作に挑みます。音楽は出来合いのものを選択するだけでしたが、テキストは勿論、キャラやフィールドをドット絵で描いたりもできたので、自由度はそれなりでした。


キャラクターやアイテム・地名などには、ビートルズメンバーや楽曲・歌詞をもじった名前を当てていました。現在にも通ずるネーミングセンスは、ここでつちかわれたように思います。


THE BEATLESに始まる音楽と、『Dante』に始まるゲーム作り――この2つこそ、小説執筆に先駆けた、我が創作人生の原点と言えるのかもしれません。




(つづく)

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