72. 気まぐれ積み本崩し(5)『ハルコロ』『やが君』アンソロほか【漫画】
皆様おなじみ(?)積読消化コーナー、第5回目です。4、5年以上埋もれたままの本とかもあるので、たまには発掘してあげないといけません。
◆『やがて君になる 公式コミックアンソロジー』(1)(2)
原作は無論、画集、小説『佐伯沙弥香について』も既読。アニメも視聴済み。2期が作られないのは人類にとっての損失ですよね!? と訴えたくなる神作百合のアンソロ漫画です。
1冊目は「きゃくほんをつくろう!」「ビターコーヒータイム」「ヒミツの生徒会」、2冊目は「ふたりとゲームとこれから」「6年後もあなたの隣で」「Lies and true」がお気に入りです。
それから2冊目には原作者描き下ろし「45日差カップルなので」も収録。本編後の
◆『OLがゲーセンで会ったヤンキー男子高校生に懐かれる話』安田剛助
表題そのままの年の差ラブコメ。日常会話の中に顔を覗かせる格ゲー用語に、気の置けない間柄が表れていて微笑ましいです。絶妙な「こういうのでいいんだよ」感。二人を温かく見守る脇役&モブたちに激しく共感します。
ヤンキー君は従順なわんこ系でもあり、
ギャグから恋愛まで幅広く手掛けている同先生の作品ですが、ミステリ好き&広島市民には『じけんじゃけん!』〈全7巻〉がおすすめです。変わり種のラブコメとしてもお楽しみいただけます。
また、禁断の年の差百合『草薙先生は試されている。』〈全3巻〉は金字塔と呼ぶに相応しい超名作なので、こちらも激しく推奨いたします。
最後にもう1作品。読み終えてから大分経ちますが、紹介する機会がなかったので、この場で取り上げさせていただきます。
◆『ハルコロ』石坂啓/本多勝一
今から500年ほど昔、北海道がまだアイヌモシリだった頃の物語です。アイヌの女性「ハルコロ」の一生が、少女漫画タッチで丁寧に描かれています。
漫画化にあたって、より感情移入しやすくエピソードが肉付けされています。口元の刺青や服装など、読者に馴染みのない風習もすんなりと受け入れられるのは、細やかな描写力に加えて、アイヌへの深い敬意が根底にあるがゆえでしょう。
ハルコロを見初めるウナヤンケ、当て馬役のペケンノウㇰ、どちらも実に魅力的な男子で目移り必至です。ハルコロと親友ウマカシテの友情、すれ違いから和解までの過程にも心を揺さぶられます。
恋愛模様だけでなく、結婚後のお話からも目が離せません。特に出産にまつわる伝承は神秘的かつ感動的でした。モナシリのようなイコインカル(産婆さん)が側に付いていてくれたら、どれほど心強いかと思います。
終盤はハルコロの息子パセクルが語り部を引き継ぎ、現代までの長きに渡るアイヌの苦難を暗示する形で幕が閉じられます。
新装版1巻末では『ゴールデンカムイ』監修の中川裕氏が寄稿、2巻末では石坂啓先生自らが連載当時を回想しておられます。いずれも興味深く印象的なエピソードが語られており、一読の価値ありです。
なお、本作の原案となる本多勝一・著『アイヌ民族』については、こちらで触れています。
★11. アイヌ文化を知りたくて【書籍紹介】
https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330659754973037
今回は以上です。まとめ買いしたまま手つかずの漫画がまだまだ沢山ありますので、感想がまとまり次第、またお送りしたいと思います。
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