70. 追憶のMSX(3)ゲーム卓上旅行記【回顧録】

真野魚尾(まの・うおお)です。再び遠く中学時代へと記憶をさかのぼりたいと思います。


念願のMSX2+を買ってもらったは良いものの、中学生のお小遣いで買えるソフトの本数は限られます。


そんなとき真野は、雑誌『MSX・FAN』『MSXマガジン』のページをめくりながら、まだ見ぬゲームたちへの想像をふくらませていたのでした。


というわけで、以下はほとんどが「エアプ」感想文になります。あらかじめご了承ください。




◆RPG卓上旅行


当時から好きだったロールプレイングゲームの記事は、まず真っ先に目に止まります。


写真や記事を食い入るように見つめながら、どんな内容かを想像する時間は、さながら卓上旅行です。真野が小説を書く元となった想像力は、ここでつちかわれた部分も大きいかと思います。


西洋ファンタジーをベースに東洋風のテイストも取り入れた『BURAI』や『エメラルドドラゴン』は今も印象に残っています。複数の主役級キャラが入り乱れる群像劇の模様にはとてもワクワクさせられました。


上位機種のturboR専用『幻影都市』は近未来の香港が舞台のサイバーパンクSFで、伝奇・仙侠のおもむきも色濃い意欲作でした。敵サイドのBL描写に界隈がざわついていたのも、未だ記憶に焼き付いています。


ちなみに真野は高校進学後、この『幻影都市』や、麻宮騎亜の漫画『サイレントメビウス』に影響を受け、能力バトルものの小説を書いたりもしていました。


日本ファルコム『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』は実際に買ってプレイ。国王を暗殺し王位を簒奪さんだつしたせっしょうの野望を打ち砕く、弱虫王子の成長譚は実にそつのない作りで、王道RPGの良さを再確認させられる名作でした。




◆美少女ゲーム夜明け前


一方で真野はADV・SLGゲームには興味が薄く、美少女ゲームには一切触れていませんでした(年齢制限もありましたので)。ただし、雑誌記事からうかがえた設定のいくつかには、心かれるものがあったのは事実です。


格闘カードバトル『バトルスキンパニック』のヒロインは「裸神活殺拳」の使い手。肌表面から気を放出するため、露出が高くなるほど強くなるというアホみたい……もとい画期的な設定には感動すら覚えます。


ファンタジー世界で戦災孤児の少女を養育する『プリンセスメーカー』は、育て方によって娘の将来が何十通りにも分岐するドラマ性に心を動かされます。後に自作小説で義理の父娘愛を描くきっかけにもなりました。


クイズゲーム『電脳学園』は4作まであるシリーズものでした。何作目の誰とは言えませんが、当時の真野のクラスメイトに雰囲気の似ているキャラがいたことが、偶然に目を引いたという経緯があります。


以上3作全て、後に『エヴァンゲリオン』を生み出すガイナックスが関わっているのには時代性を感じます。『エヴァ』自体をろくに知らない私が言うのも何なのですが……。




◆いわゆるディスクシ◯テムみたいな


おまけにちょっとした余談です。


当時、家電量販店に「TAKERU」というPCソフトの自動販売機が置いてありました。欲しいゲームをその場でフロッピーディスクにデータ書き込みする、ダウンロード販売の先駆けのような存在です。


多分二、三回だったと思いますが、真野も利用する機会がありました。


以前に取り上げたRPGツクール『Dante』も、このTAKERUで購入したソフトです。同時にプリントアウトされてくる説明書がたしか20ページ分ぐらいあって、ちょっぴり戸惑ったような記憶があります。




(つづく)

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