42. 読書歴のようなもの(2)高校編【回顧録】

真野魚尾(まの・うおお)の『読書歴のようなもの』、前回は幼少期から中学時代までを振り返りました。


〈前回〉

★35. 読書歴のようなもの(1)幼少期~中学まで【回顧録】

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330664307419719


それでは、おぼろげな記憶を辿たどりつつ、続きをお話しようと思います。




◆休み時間一人自分の席で文庫本を読んでいた陰の者それが私だ


中学時代に趣味として確立した小説執筆ですが、高校進学後もその情熱は一時も冷めることはありませんでした。


それまでは資料片手に好き勝手書いていたものの、やがて「ちゃんとした小説」がどうなものかを知るべきではないか、といった意識が芽生え始めます。


その頃に書いていたのは西洋ファンタジーが中心でしたので、海外文学にならうのが手っ取り早いという考えに至ります。何故ラノベを読む発想がなかったのかは謎です。




◆小説と戯曲


主に岩波文庫や新潮文庫、ちくま文庫あたりにお世話になっていました。作家単位で代表作を片っ端から乱読した記憶があります。


一冊ずつ挙げていくとキリがないので、特に印象に残ったものだけ羅列していきます。



シェイクスピア『あらし』『お気に召すまま』

ゲーテ『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』

ミルトン『失楽園』


オスカー・ワイルド『サロメ』『ドリアン・グレイの肖像』

イプセン『人形の家』

ジョルジュ・サンド『愛の妖精』


マックス・エルンスト『百頭女』(←絵じゃん!)


その他『カルメン』『マノン・レスコー』『椿姫』『魔法使いの弟子』『にんじん』『ガリバー旅行記』『不思議の国のアリス』……などなど。



惜しむらくは当時お勉強感覚で読んでいたため、物語を楽しむ姿勢が充分でなかったのが反省点です。憶えている内容も判然としないので、もし上記の作品について質問されてもフワフワした回答しかできそうにありません。




◆タナトスとエロスへのいざない


魔術や錬金術に関する資料を探すうち、河出文庫から出ていた種村季弘や澁澤龍彦の著書にハマり出します。真野のオカルト知識は多分この辺りがルーツです。


澁澤龍彦といえばフランス文学の翻訳もされていました。ポーリーヌ・レアージュ『O嬢の物語』は海外ドラマもありましたっけ。本とドラマ、見たのはどちらが先だったか失念。官能描写よりも精神の変容が不気味で恐ろしかったです。


河出文庫でもう一つ印象的だったのが『我が秘密の生涯』でした。作者不詳(19世紀頃の英国紳士?)の生涯の性体験……なのですが、延々と似たようなことが書かれていたような。男色に挑戦して断念した件だけ妙に憶えています。




◆ファンタジーの参考資料


90年代初頭になると、主にTRPG向けと思われる「種本」が続々と書店に並び始めます。神話由来の魔物や妖精であるとか、実在した武具や中世社会の風俗など、ファンタジーの世界観構築に必要な知識をまとめたものです。


文庫サイズで出ていた富士見書房『アイテム・コレクション』『キャラクター・コレクション』などのFantasy lifeシリーズはその走りだったと思います。前者は『ロードス島戦記』と繋がっているのを後に知ります。


書籍サイズの本だと、新紀元社『Truth In Fantasy』シリーズは何十冊と読み込みました。イスラム教の天使/悪魔だったり、太刀と打刀の違いを知ったのもこのシリーズからだった気がします。




今回は以上です。読書歴のようなもの、続きます。

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