第25話 あがき(ある騎士の場合)
「そ、そんなバカな!?」
武器を破壊されて丸腰。しかも片膝をついた不利な状態であるにも関わらず、守人の槍は容赦ない追撃をしてくる!
「狙いは首か!」
攻撃の軌道から相手の狙いを察知したボクは、奇跡的ともいえるタイミングで身を
「ぜぇ、ぜぇ……そんな簡単にやられては……ここまでやって来た
そう自分に言い聞かせて奮い立とうてしてると、首筋に生暖かい感覚があることに気づく。
「何だ?」
触って確かめてみると、“ぬるり”とする不愉快な感触が!
「ああ……な、何だよこれ?」
真っ赤に濡れた手の平。どうやら先程の一撃を躱し切れてなかったらしい。
「この傷じゃ三分も持たない……だったら!!」
残された時間が少ないと知ったボクは、意を決して急いで投げ飛ばしたままの手斧を拾いに走る……っが、当然の如く守人はそれをさせまいと胴体を狙った
「な、何の!」
しかし、その攻撃をジャンプで躱すと、そのまま走って手斧を拾い上げることに成功する!
「ぜぇ、ぜぇ……よ、よし、これで……」
そこから息を整えることもなく反転すると、すぐに反撃へ!
ガキィィィーーーーーーンンン!!!
手斧の振り下ろす一撃と槍の振り回す一撃がぶつかり合い、美しくも激しい火花が散る!!
「でゃあああああーーーーー!!」
「ぐぬぬぬぬぬぬーーーーー!!」
その後、そのままの形で
「!?」
しかし……眼突きを狙ったはずの指は、残念ながら噛みつかれて
「
噛まれた指はメキメキと音を立て、ついには……ブチンッ!
「が、があっ!」
見ると、親指は根元から先が無残にも失くなっていた。
「ペッ……!」
守人は咥えていたボクの
「
この“お前の負けだ。
「わ、わるいけど……逆転の策なら……まだあるさ!」
言い切ると同時、未だにおびただしい出血を続ける自分の首に手を当てると、べちゃべちゃにくっついた血液を手首のスナップを効かせて振り飛ばす!
「ううっ……!」
飛ばした血が上手い具合に守人の両目にひっかかる!
「こ、この……下らない小細工をして……」
視界を確保しようとしてるが、それを黙ってやらせはしない!!
「やあぁぁぁぁぁーーーーーー!!」
振り上げた手斧に、渾身の力を込めて守人の頭上へ落とす!!
「なっ!?」
しかし、その振り下ろされた手斧は両手できっちり
「あいにくだったわね。そんな見え透いた愚策程度なら、目を瞑っていたとしても問題……ないのよっ!!」
バキィ!!
直後、手斧は
「くっ……ま、まだ……ぐっ、な、何だ? い、意識が……」
まずい……血を流しすぎたか?
「だ、だめだ……終わっては……あの子に……」
薄れ行く意識のなか、ボクはとある少女と交わした約束を思い出そうとしていた。
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