第4話 書庫のエリア(守人の場合)

 の処分を終えた私は、剣のある広間へ戻るために来た通路を引き返す。


 ちなみにこの城には今歩いてるような通路が全部で六本が存在しており、その全ては直線で中央の広間へ繋がっている。

 また、他の通路を使う際は一度広間を経由して対応する扉を通って進む必要がある。

 それから通路を突き当たった先にも扉は存在し、その先はそれぞれのエリアがあると思われる……


 尚補足すると、ここで表現ひょうげんしたのには理由がある。それは、私自身が全てのエリアを自分の目で確認した訳じゃないからだ。


 六つのエリアの内、五つのエリアまでは何事もなく確認ができている。ただ最後の六つ目だけは、その手前にある扉にはばまれてその先が確認できていないのだ。


 もちろん、扉を開くためには一応の努力くらいは試みた。鍵穴らしきものを探したり、自作した槍を使って力ずくでこじ開けることだって何度も挑戦した……が、結局は何をやっても徒労とろうに終わって扉が開かれることはなかった。

 よって六つ目のエリアだけは、現在も何があるのかはわからないままだ。


 あと、エリアといえる場所は“ゴミ”を処分したバルコニーをはじめ、今書庫、倉庫、自然、寝室……そして、例の開かずの間との六種類が存在している。


 ――――っで、一仕事終えた私はこのまま寝室へ戻っても休もうかなと思ってたんだけど……?


「う~ん。今日は夜更かしをしたい気分だから、書庫の方で何冊か見繕っていこうかな?」


 ということで、まだ見ぬ名作を求めて書庫のエリアへ足を延ばすことになった。


 ――――書庫のエリア。


「さぁ、今日は何を読もうかしら♪」


 到着した先は剣の広間と同程度の広さがある大部屋。そこでは圧倒されるくらいの数の本棚が立ち並び、その一つ一つの棚には様々な本が所狭しと大量に所蔵しょぞうされてる。


「え~と、これはこの間に読んだから……」


 私はくさんある本の背表紙を指で横になぞりつつ、目ぼしいものを探していく。すると、しばらくしたら指が止まり……


「おっ、あったあった!」


 見つけたのは最近ハマっている続きものの小説。全千八〇〇巻もあるため、常に一、二冊は手に取る様にしている。ちなみに今手にしたのは三〇七巻と三〇八巻だ。


「さて、あとは適当に……ん、これは?」


 目についたのは、幼子が興味を持ちそうな薄い絵本だ。


「ふーん、たまにはこんな変化球もいいかもね♪」


 絵本を脇に抱えると、さらに別の本も物色し続ける。


「これとこれと……これもいいわね!」


 そうやって次々と本を取り続け、気がづけば何と二〇〇冊以上の本を両手で抱えていた!


「くっ……さ、さすがにこれだけ多くなると……バランスが……ととと!」


 ふらつく足取りでどうにか本を支えるが、正直かなりしんどい。しかし、読書へ対する熱い想いを持つ私は、寝室へ向かって一歩一歩と歩みを進めるしかなかったのであった。

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