第3話 バルコニー(守人の場合)
何も語らない、何も答えない……そんな物言わぬ
「さて……と、さっさとこの散らかった
転がるゴミの片足を
錆びた音と共に開かれる扉の向こうは、広間と同じ大理石でできた長い通路が続き、私はゴミを引きずりながらゆっくりと進む。
「そういえば、今日の天気はどうだったのかな?」
「よっと……」
空いている方の手を使って扉を押開くと、全身に激しく当たる強風によって出迎えられた。
「今日は少し風が荒いか?」
訪れた場所は、
安全面には多少の難はあるものの、スペース的には中央にある大広間の半分くらいはある。
またバルコニーとするだけあって、ここから
「そういえばこの城って、私がやって来たよりもはるか昔から浮かんでいたはずだから、かれこれ…………いや、数えるのはやめておこう。頭が痛くなりそうだ」
無駄なことはやめ、さっそく本来の目的を果たすための行動を開始。
「悪いわね、待たせちゃって……」
片足を掴んだままになっている亡骸へ詫びると、そのままバルコニーの端にまで移動して眼下を見下ろす。
「あとは、ここから放り投げればおしまいか」
私は
「これで正真正銘のお別れになるけど、私を恨んだりしないでよ。こうなった原因は、あなたのどうしようもない弱さにあったんだから……」
哀れむようにそう言ってやると、片足を掴んでいた腕に力を込める!
「じゃあね……名前も知らない可哀想な人間さん!」
そして、適当な別れの言葉をかけた後は本当にゴミでも捨てるかみたいに亡骸をバルコニーから放り投げた。
「よし、これにて完了!」
「まぁ、やった本人がそう思うのはおかしな話だけど」
そんなふうに想いふけって一仕事を終えた私は、ふと空を見上げる。
「……うん、今日も悪くない空だ」
いつもと変わらない青い景色。これに満足するした私は、吹き荒れる風から背中を強く押されてバルコニーから立ち去るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます