雷とカエルとお風呂

あの頃 夕方になると毎日 雷が鳴った 急に辺りが暗くなり

わらの匂いがしてくると ビリビリどっかーん ピカ どーん

ものすごい光と音 体じゅう響き 怖くて怖くてビビッていた

おばあちゃんは平気でお風呂の準備している キャーッと叫ぶと

ちっともこわくないよ 気持ちいいじゃないか とか言う

怒りを爆発させた雷は涼しい風と夕焼けを残し去って行く

そしてまたカエルの大合唱が始まる

お兄ちゃんが真っ黒になって帰ってくるすぐにお風呂場へいけとおばあちゃんが言う

夕食後 私はおばちゃんとお風呂に入る 父とおじさんが張ったタイル張りのお風呂

いつも溢れたお湯をせき止めて床にお湯を貯めておくのが私のお気に入りの入り方

お湯のプールみたいだ ヒヨコや金魚 おままごとの野菜や果物 みんな浮いている

浮いているいえばおばちゃんのオッパイ でかくて長くてゆらゆら浮いているのだ

何回見ても不思議で面白いと思った そして一つ気分を害するもの

それは西側の窓と北側の窓にカエルがびっしり張り付いていること

ガヤガヤ泣きながら何層にも我先にとよじ登っていくカエル 窓一面にいるのだ

気持ち悪い うるさい バン!と窓をたたくといっせいに落ちていく一瞬窓ガラスが

普通になるがほんの少しするとまた昇り競争が始まる 昔の窓ですりガラスの窓なので少しは良かったがこれだけは本当に許せない気分 カエルのお腹のリアル

今でも記憶が鮮明に残っている

縁側でジュースを飲みながら夕涼み 鈴虫とカエルの大合唱を聞く

あの頃 普通の毎日だった 今では 宝の日々を過ごさせて頂いたと感謝している


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