兄と私の夏休み

子供の頃 夏休みになると母の実家に兄と一緒に遊びに行った

駅まで母が送ってくれるが必ず「お兄ちゃんに迷惑かけてはだめだよ」

と言われた だが座れたらラッキーで荒川を渡ると私はすぐに寝てしまうし

立っていても窓の外の景色を見ているだけだ 時々「アレ何?」

あんなところに○○がある ねえお兄ちゃんみて?」というのが

恥ずかしいらしい 兄とは普段 話をすることがない 

あの頃は鈍行で各駅に止まりある駅では急行列車通過のため長いこと待たされた

着くまで3時間の道のり 子供にとってものすごく遠く感じた

トイレに行きたくなるといけないのでおやつはいつもロッテのガムで味はコーヒー

か白 すぐに味がなくなり銀紙に包む。うまく包めない時もあり手について

ベトベトし指をこすっていたものだ あの頃は車内でもタバコを吸っていた時代

色々な臭い 話し声 電車の音 揺れ 通り過ぎる踏切の音 気分が悪くなることもあった 田園風景が広がり窓から風が爽やかに流れ込み 田舎に近づくにつれ

兄が明るい表情になり嬉しさがにじみ出てウキウキしているのがわかる

言葉数が多くなるし優しくなる 埼玉と群馬の境の川を超えるとようやく降りる

駅がくる 忘れ物がないように持ち物を確認 停車しドアが開いた瞬間の着いた~

と思うあの心持ちは今でも忘れられない 叔母さんが改札口で笑顔でよく来たねと

迎えてくれあの時のホッとする気持ちと嬉しさ 兄の喜びの顔を忘れられない

来たよ~と玄関を入ると「あれ まあ~」とおばあちゃんがいう

荷物を置きあれやこれや出して  冷蔵庫をあけてプラッシーときゅうりの入った

ビニール袋を出して縁側で食べる おばあちゃんのきゅうりは最高 世界一!

生のきゅうりを塩で もんだだけらしいが丸ごと1本 バリバリ食べると田舎に

来たと実感する 夏の風が縁側から入り扇風機がほどよく暑い時間を流し

青い空と蝉の声とコラボする夏 これぞ 夏!





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