縁日
子供の頃 商店街は賑わっていた 八百屋 魚屋 味噌屋 お菓子屋 洋服屋
雑貨屋 眼鏡屋 電気屋 本屋 文房具屋 おもちゃ屋 クリーニング屋
着物屋 肉屋 自転車屋 惣菜屋 写真屋 金物屋 和菓子屋 ケーキ屋
パン屋 酒屋 お米屋 花屋 薬屋 牛乳屋 お線香屋 化粧品屋
豆腐屋 銭湯 金魚屋 手芸屋 生活する上で全てのものが揃っていた
夕方になるとたくさんの人が買い物をして知り合いもたくさんいる
母などいつも話が長くて待ちくたびれてしまうにはしょちゅうだ
母に頼まれて買い物に行くと「小さいママさん 今日は何を買いますか?」
と それぞれの店の人に声をかけられて嬉しい気持ちになったものだ
この商店街は1日 15日 28日と縁日がある 不動尊があり昔からのイベント
らしい 金魚すくいやたこ焼き屋 おもちゃ ヨーヨー釣り 綿菓子
お面 ヒヨコ屋 くじ 的あて いろいろな出店がくる
夕方 友達と待ち合わせし 少ないおこずかいで何を食べるか何を買うか
話をしながらワイワイと 夜のつかの間の時間を楽しんだ
私はままごと遊びが大好きで小さい頃より1個ずつこの縁日で揃えた
今日は 鍋 次は包丁 次は野菜 くだもの フライパンなど毎回
楽しみだった 中学年になるとさすがにおままごとは買わないが興味はある
見ていると欲しくなる 金魚すくいもここで腕をあげた この頃はまだ
すくいもちゃんとしていて破けにくかった 15匹 すくった時はさすがに
金魚屋のおじさんもびっくりしていた ヒヨコも黄色やピンク 水色と
それぞれ買ってみたが2日後には必ず天に召されていく その度に涙を流した
あと定規みたいな穴があいていて穴にボールペンをさしてクルクル回すと綺麗に
模様ができる不思議で楽しい物もあった 針金のように渦巻で左手と右手に分けて
持つと行ったり来たりしてびよーんびよーんとしてるのもあり階段に置くと下へ
順番に下りていくおもしろい物もあった とにかく子供時代はわくわくの連続!
だが 歳を重ねるうちに商店街は店が1つずつ閉めていき1つずつ消えていった
いつしか縁日も消えていった 32年住み 変わる街並みを見てその場所から離れ 今はもう訪れることもない 私にとっては良き時代 赤ん坊から子供 子供から
少女 少女から女性 女性から母と 生きてきたあの町 いつまでも昔のまま
記憶に残るであろう。
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