結末


彼女の宝石の様な瞳から大粒の涙が溢れます。



「なんで・・・?」


「何で、・・・此処でその言葉が出てくるの?」


「結婚だよ?こんな・・・こんなび、びしょーじょと・・・結婚して・・・好きにして、しても・・・いいんだ、よ?」



嗚咽交じりでそう漏らす彼女に貴方は苦笑をしつつそれでも慰めるように答えます。


参ったな、涙を止めたくて言ったんだけれど。やっぱり僕には美少女と結婚する資格はないんだなぁ、と。



「何で、こんな。自分だよ?何にも出来なかった、人類最高峰の魔力も肉体も貰っても何にも出来なかった」


「世界は滅びを迎えてしまった」


「抗った、失敗した、呼びかけた、誰も聞いちゃくれなかった、仲間も、勇者も、皆死んで、村も、家族も、母さんも、父さんも、妹も、幼馴染も、親しい人も皆・・・異形の怪物に食い散らかされた」


「この世界最高峰の肉体、魔力、ソレを扱うスペックを使っても自分一人が精一杯だった」


「だから最後の願いに縋った」


「神様に願いを叶えて貰うなんて何度もしようとした」


「けど出来なかった」


「神様に連絡何てどうやって取ればいいの?神様は連絡手段なんてくれなかった」


「魔法を使って何とかやろうとしたけれど、神様のいる次元なんて人がその一生を費やしてもその声を届かせる所か聞く事すらもできなかった」



でも一つだけ、神様と会える瞬間を君は知ってる。そうだろう?


貴方がそう言うと、彼女は話す途中で俯いていた顔を上げ茫然とした顔で見つめた後、再び俯いた後、手を合わせ固く握り合わせ祈る様に或いは懺悔する様に許しを請うかの如く告白する。

自分の前で、自分とは違う自分の痛々しい罪の悔恨をその身に突き刺しながら。



「異世界転生の、瞬間」


「貴方を殺せば、私はもう一度神様にあえる」



彼女は――そう告白した。


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