第2話 タイムマシンにお願い
好きな時代へ行けて、ドラえもんよろしく
時間の螺旋を超えて、
もう一度あの頃へ戻れたら。
誰もが願う叶わぬ夢である。
たった1度でも良い、リターンが出来るなら。
人生をやり直せるのなら、14歳の夏休みに戻りたい。中学校2年生。部活はブラスバンド部でクラリネットを吹いていた。
14歳から15歳にかけての時代は、人生の中で最も交友関係が広かった時である。
部活は最高に楽しかった。生まれて初めて先輩と呼ばれる立場になった。
気分的には偉い者になったような感覚になり、
気が大きくなって文字通り調子に乗っていた。
部員は全員で仲が良く、陰湿なイジメは無かったので、本当に楽しかった。
夏季コンクールへ向けての放課後の練習、小さい規模のコンクールや音楽祭などよく全員で行動した。
学校からバス停までの帰り道に買って食べるアイス、バス停でバス待ちの時につまむ友達のお母さんが持たせてくれたサンドイッチ、どちらも忘れられない程おいしかった。
練習はOBの高校生の先輩が見てくれることもあって、優しくされて先輩に憧れて舞い上がった。
後輩に初めての彼氏も出来て、遊園地や夏祭りのデートにも行ったが幼すぎてわずか3か月でジ・エンドになった。
下手だが漫画も描いていて、高校生以上が主催している漫画研究会にも所属していて、高校生や大学生に混じり、今で言うオフ会に参加して、最年少の「おチビちゃん」と呼ばれるのが嬉しくて、
夏休みには一泊のオフ会にも参加した。
兄の影響を受けてジェフ・ベックやレッド・ツェッペリン、サイモンとガーファンクルなども好きで、
主にハードロックの音楽の話をする仲間も出来て、
ブラスバンド、漫研、ハードロックと3つのグループの交友を楽しんで、勉強よりも遊んでばかりだった。楽しかった。
中学1年のときは上の下位だった成績が、偏差値は50を割って下の上から中の下位に下がってしまった。それでも勢いづいて調子に乗っている私は、
広い交友関係の中でひたすらに笑い、楽しみ、時には悩んで泣いたりもしながら、遊び倒していた。
やり直せるなら、ここだろう。
まずは遊びすぎていた14歳、交友関係を
もう少し狭くし、勉強する時間を確保する。
中2で落ちた成績は全員が努力し始める中3では取り戻せない。
中1の時程度の成績を保たせ、高校は滑り止めの私立女子高ではなく、公立高校に合格をすること。
もし公立高校に合格していたら。
私の人生はどうなっていただろうか。
今とはまったく違う人生だろう。
今の人生を不幸とは思っていないけれど、
タイムマシンにお願い出来るなら、
お願い、14歳の夏休み前に私を戻して!
そしたら調子に乗りたい気持ちをもっと
抑えて、ちゃんと勉強するから。
そして違う人生を歩ませて!
リーダー格にはなれないだろうけど、
高校生活をやり直したい。
後悔だらけの高校生活を。
わがまま過ぎた人格形成からやり直さないとだから、14歳ではすでに遅いかな。
いや!頑張れ、私!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます