第4話
「…はぁ?」
謎の少女、ライに気づいた瞬間、二人は同時に頭上にハテナマークが浮かんだ。
もちろんライより全然下のほうに。
「本当、何なんだろうここは」
赤音はあっけにとられた様子でメリナに聞いた。
しかしその質問はライが拾った。
「異世界だよ、半分ね」
「にわかに信じ難いわ。ふざけるのもいいかげんにしてよ」
メリナがライを睨む。
「本当さ」
ライは毅然として答えた。
「ここが異世界でなけりゃ、…」
ライの言葉は、不思議と赤音の耳元だけに届いた。
静かに。雷鳴のように速く。
「待って、ライ!今のはっ」
「これ以上話すと怒られんだ」
「ごめんな」
赤音は何か話しかけたが、そんな間もなくライは
―雷鳴を放った。
まるで異世界が本物であると訴えるように、赤音たちの上空に雷雲がゴロゴロとなり続ける。どうやら今はわざと外してくれているらしい。
「ライ…?」
また耳元に声が囁いた。
(よく見ろ)
(雷が落ちていないところがあるだろう)
赤音が自分の頭上以外の雲に目を落とすと、確かにいくつかそれらしきものが見当たった。
(それを辿ると、異世界への扉がある)
(私たちの住む世界だ)
(行け)
ライは必死に雷を出している。あの司会者(?)に手を抜いているとバレるとまずいのか、随分ギリギリのラインに雷が落ちる時が増えた。
どうする。
メリナに話す時間はない。
ライを信じて、行くしか―
「早くしろ!!」
その叫びと共に、私達は雷に背中を押されるようにして異世界の扉へ直行した。
その時にメリナがどうやってライの腕を掴んでいたかは、今度聞いてみたいものである。
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