第2話
赤音が連れて行かれた先は、巨大な白い建物だった。
「では、ここで少しお待ちください」
そう言い残され、赤音は何もない空間に残された。しかしよく見渡すと、そこにはもうひとり、
少女がいた。
⦿
最近、不思議な夢を見る。寝付きは良いほうだが、珍しくそのことが気になって眠れなかった。
枕も布団も最高級のはずたが…
メリナはひとり思案しつつ、朝食を食べた。
夢の中の妙な輝きが忘れられなくて仕方がない。
今日も一日、自習室で暇を潰そうとしていた時だった。
「すみません」
見知らぬ男が声をかけてきた。街で声をかけられるのは初めてで、メリナは少し戸惑った。
「あの…」
メリナは少し迷惑そうな顔をしてその場を去ろうとした。
「ああいえいえ、怪しいものではございません」
全身が白のローブの怪しい男が言った。このご時世こんな格好をしている奴は、ハロウィーンか怪しい人ぐらいだろう。今度こそ断らなければ。
「少しあなたのお家の施設を借りたいのですが。今その権限は貴方にあるのでしょう?メリナ・ジャヴェロット嬢」
見知らぬ男に名前を言い当てられ、思わず顔をしかめた。
「…あなたが何をしようとしているのか知らないけど」
「…商売ですから、いいわ」
「感謝します」
あっさり承諾してしまって大丈夫かとも思ったが、警備の数を増やしておけば大丈夫だろうと思っていた。
「それでは、貴方にもついてきていただきましょうか」
刹那、メリナの意識は途絶えた。
⦿
目を覚ますと、そこはいつも貸しているホールだった。しかし、机も何も無い。いつもはパーティーなどで人がごった返しているが、何も無いとこんなにも広いことをメリナは初めて知った。
ーいや。
そこには何も無いわけではなかった。
ひとりの少女が、そこにはいた。
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