第3話

駅のホーム

スーツ姿の男が入って来る。


「……思わず来ちまった。」


男、舌打ちをして改札に向かう。

すれ違うサラリーマンに変な怪物がくっ付いている。


割と大きめの怪物、サラリーマンにしがみ付いて離れない。

何食わぬ顔のサラリーマン。


「見えてない……のか?」


男、怪物へパンチのポーズをしてみる。

怪物、恐れ慄く。

男、ニヤける。

サラリーマン、眉間に皺を寄せて男を避ける。


改札に向かう若い男、サラリーマンよりも大きい怪物が付いている。

ヘットフォンで音楽を聞いている若い男。


男、若い男に気付かれない様に忍び寄る。

若い男に触れるか触れないかの所で怪物にパンチを当てる。

怪物、下にパラパラと落ちて消えていく。


男、自分の掌を眺める。

ホームから溢れる朝日が青い血管を浮立たせる。






ホーム階段の隅に立ち、ひたすらパンチを繰り出している男。

そこに、髭面がやって来る。


「やっぱり、おじさんに頼んで正解だったよ。」

「おうよ!」

「これからが勝負だな。」

「そうだな……。」


男、帰宅ラッシュの列に突っ込む。

女性の悲鳴。

列の外で様子を見ている髭面の後ろ姿。

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