33 その後の学園
目を覚ますと、雲一つない夜空が見えた。
そして満天の星々と月明りのスポットライトに照らされたユニコの顔が見えた。
「ゆえ〜ん! トクトリス〜!」
ユニコは泣きながら私に抱きついた。
私の体はどこも焦げてない。
回復魔法をかけられたようだ。
「気が付いたようだね、トクトリスさん。ボクが君を回復させたんだよ。君のボーイフレンドであるこのボクが」
イケメエルがなんか言ってる。
「ユニコもひーるしたよー!」
「そうなの…。ありがとう、ユニコ」
「フフっ…。まだ、寝ぼけてるのかい? ボクの名はユニコではなくイケメエルさ」
「ありがとうイケメエル君。それで、マーメイはどうしたの? 死んだの?」
「いや、生きていた。黒焦げだったけどね」
あの電撃を受けて生きているとは、驚きの生命力だ。
でも生きてるなら、やっておかなきゃならない事があるはずだ。
それをイケメエルに確認する。
「ちゃんと強姦した?」
「したさ。焦げた魚料理みたいで勃たせるのに苦労したけど、君との約束だったからね」
良かった。
これでもうレイニー・ブーツに怯える必要はない。
「さすがイケメエル君ね。そこまで振り切ったヤリチンなら逆に清々しいわ」
私は上体を起こし、辺りを見回した。
…マーメイの姿がない。
「マーメイは? マーメイはどこにいったの?」
「すまないトクトリスさん…。マーメイは急に姿を消してしまった。少し目を離した隙に跡形もなく…」
「どういう事…?」
「ユニコ見たよ。ツノのはえたちっちゃいユーフォーが飛んできて、マーメイに光を当てて、マーメイが吸い込まれて、どこかに飛んでった」
ツノの生えた小さなUFO…!?
それって、あのヒトのユニコーン…!?
私とユニコを出会わせてくれたあのヒトの…。
生きていたの…?
でも、なら何で私に姿を見せてくれないの…?
「………………」
「…トクトリスさん? どうかしたかい?」
「あ、ううん…。なんでもないわ…」
その時、バタン! と屋上のドアが開いた。
やってきたのはアカナベ・メロンだった。
「あー!! いたいたー!! あなた達、こんなトコにいたんだー!! 知ってるー?! 学園中大変な事になっちゃったんだよー?! あちこち水浸しで、マジで大変なんだからー!!」
良かった。
メロンも無事だったんだ。
「…トクトリスー!!!」
ドタドタとメロンの後ろからエル美たちもやってきた。
「何がなんだか分かんないけど、解決したのよね!! イケメエル様が黒焦げ人魚に挿入した時、本当に何がなんだか全く分かんなかったけど、解決したのよね!!」
「おっと。恥ずかしい所を見られてしまったかな? ボクは焼き魚フェチという訳じゃないから、安心してくれたまえ、エル美さん」
「はい!! 私にも挿入して欲しいです!!」
エル美ちゃん、そんな下品な事を言う子だったっけ?
色々あってテンション上がってるのかな?
「トクトリスさーん!! よかった…!! 無事だったのか!!」
「まったくもう! 心配したんだからね!」
「俺は、イケメエルが人魚に挿入したのを見て、乱交パーティーが始まったと思って慌てて来たんだ!」
「まさかあの人魚がイケメエル様の彼女コンテストの優勝者じゃないでしょうね!!!」
私は生徒たちに囲まれた。
男子だけじゃなく女子にも。
みんなが私を讃えてくれた。
「ありがとう! みんなのバフのお陰で勝てたわ!」
私たちは喜びを分かち合った。
◇ ◇ ◇
でも、その後が大変だった。
生徒も教師も大勢亡くなった。
私たちは遺体を集めて埋葬した。
みんな悲しみに暮れている。
私は、亡くなったみんなに何ができるか考えた。
そして思い立った。
私は男子達の墓の前に、自分の陰毛を供えた。
生前欲しがっていたから、頑張って採取した。
「ありがとうトクトリスさん、これで彼らも浮かばれるよ…」
生き残った男子達は涙ながらに感謝を述べた。
せっかくだから女子の墓にも供えようとしたら、女子からは猛反発を食らった。
「何考えてるのよ!」
「空気読め!」
「頭おかしいんじゃないの!?」
男子はあんなに喜んでくれたのに…。
女心は難しい…。
エル美には、「アンタが避けられるのはそうゆう所よ!」と言われた。
どうゆう所だろう?
…。
みんなの遺体を集めている時、一つ気になる遺体があった。
学園長室にあった遺体。
そこにあったのは編入試験で一緒になったホビット、ホビンソンの遺体だった。
なんで初日に消えたホビンソンが、遺体となって学園長室から発見されたのか。
更に気になる事に、他の遺体は窒息死していたのに、ホビンソンの遺体だけ、胸をレーザーで貫かれたような跡があった。
まあ、考えても分からないし、気にしてもしょうがないのかもしれないが…
こんな事があったので、学園は授業どころではなくなり、無期限の休校となった。
その間、憲兵による立ち入り調査が行われた。
私も事情聴取を受けた。
これ以上犠牲者を出しちゃいけないと思って、全てを打ち明けた。
マーメイの事。
聖獣教会の事。
そして、ユニコーンの事を…。
でも、憲兵は信じてくれなかったようだ。
そもそも主犯のマーメイが消えたんじゃどうしようもない。
用務員室も浸水してメチャクチャになって住めなくなっていた。
私とユニコはラミィと一緒に宿屋を取った。
代金はユニコを使ってカジノで稼いだ。
そうして、3日が過ぎた…。
宿屋でユニコと乳繰り合っていると、ラミィが知らないヒトを連れてやってきた。
ノームの中年女性だった。
女神教のシスター服を着ている。
ラミィがいつも抱いて寝ていたぬいぐるみにそっくりだ。
彼女は私とユニコを見て言った。
「ラミィから聞いたよ。君がトクトリス君…そっちの子がユニコ君だね? 私は女神教・事務局のノーマ。ぜひ、君達を我ら女神教のシスターとしてスカウトしたい!」
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