21 性のお悩み相談



シャセイ大会は熾烈を極めた。

発射回数を制限してなかったので、何発も発射して、倒れて保健室に運ばれる男子もいた。

優勝したのは、足の長い陰毛パンツエルフ君だった。

しかし、それに抗議する意見もあった。

種族によって股下の長さが違う。

足の長いエルフは他種族より発射位置が高く不公平だという意見だ。

第二回大会では、今回の反省点を生かし、発射回数は一回とし、股下の高さを揃えるため、お立ち台を用意しよう。



大盛り上がりのシャセイ大会の後、私たちはみんなで湯船に浸かった。

すると、大会参加者の一人が、浮かない顔をしていた。

私はどうしたのか尋ねると、彼はこう言った。


「ぼ、ぼく早漏で…、みんなより早くデちゃって…恥ずかしかったです…」


なんだ、そんな事を気にしてたのか。


「うふふっ。女の子は案外、早漏が好きだったりするのよ? 『私の体が良すぎて、我慢できなかったんだな』って思って自己肯定感が高まるし、体への負担も少ないから、実は遅漏より人気があるの。それに大切なのは時間より相手を思い遣る気持ちよ。早くても、前戯を頑張って相手を満足させてあげられれば何の問題もないわ。相手の喜ぶポイントをいっぱい見付けてあげてね」


すると今度は、別の男子が声をかけてきた。


「トクトリスさん。オレ、遅漏で…、しかも途中で中折れしてしまうんだ…。どうしたらいいかな…?」


切実な悩みだ。

私は真摯に答える。


「遅漏は色んな体位を試せるし、女の子がイクまで挿入し続けられるのがメリットよ。後はシャセイのタイミングをコントロールできるようになれば女の子はアナタに夢中になるわ。中折れは…、そうねぇ…。シコる時に握力を掛け過ぎず、足ピンをしない事。弱い刺激でイケるようにトレーニングしてみて。あとは生活習慣の見直しね。普段から夜ふかしをせず、適度に運動して、行為前に体調を万全にするの。それと食生活。基本的にED治療に必要な栄養を取ればいいはずよ。確か図書室にEDに関する本があったから、今度読んでみて」


他の男子も相談してきた。


「僕、包茎で悩んでるんだ…。手術した方がいいかなぁ…」


「見せてみて…。あら…、可愛い皮を被ってるわね。ちょっと勃たせられる?」


「さっきダしちゃったから…、勃たないかも…」


「私が協力するわ。……ほら、よぉく見て、処女のおっぱいよ。うふふっ、キレイでしょ?」


私は胸を強調した。


「はわわ…」


彼を勃たせる事に成功した。

ついでに周りの男子も元気になった。

私はその状態で皮が剥けるか試すように指示した。

結果、亀さんの頭の露出を確認した。


「なぁんだ、ちゃんと剥けるじゃない! アナタのは仮性だから手術しないで大丈夫よ。その代わり、ちゃんと皮を剥いて中まで洗う事。匂いが気になる女の子もいるから清潔にしておくのよ」



それから、引っ切り無しに相談事が押し寄せてきた。


「お、俺は真性です!」

「僕は短小で…、相手を満足させられるか…」

「オレ、先週からタマが一個増えてて…、これってヤバい病気ですか…?」



皆、誰にも言えず一人で抱えていた性の悩みを、私に打ち明けた。

私はサキュバスだから、そういった知識が豊富にある。

私は一人ひとりに寄り添って、迷える男子の話しを聞いた。

それはまるで…、


「うゆ~! トクトリス、本物のシスターみたい!」


そう、迷える子羊の悩みを聞く…。

まさにシスターそのものだった。



最後に相談してきたのは、最初に私を注意した真面目ノーム君だった。


「僕も相談していいだろうか?」


「勿論よ。どうしたの?」


「僕は女神教だ。戒律に従い、貞操を守っている」


女神教の戒律に従い貞操を守る?

じゃあ、エル美や、私の街の女神教は何なんだ?

真面目ノーム君は話しを続ける。


「しかし、昨今はその戒律も形骸化していて、貞操を守る者も少なくなっている。でも僕は、戒律を守って、一生童貞を貫くと決めているんだ…」


「あら、立派じゃない」


「いや、違うんだ…! 全然立派なんかじゃないんだ…! ぼ、僕は…、自分がモテない言い訳をしているんじゃないかと考える事があって…。自分がモテないから…、女性と性交できない言い訳として、戒律を利用しているんじゃないかって…! 戒律を守ってるから、童貞でも仕方がないって…、自分に言い聞かせて…! 僕自身わからないんだ…。本当に僕は、心から女神教を信仰しているのか…!」


童貞真面目ノーム君は目に涙を溜め、声を絞り出した。

彼は本心で、私に訴えかけてきた。

恥も見栄も捨て、心から私に救いを求めてきた。

だったら、それに答えなければ女がすたる!


「童貞真面目ノーム君、ほら、私をよく見て。私を見てどう思う?」


「…どうって、…か、可憐だと、思う」


「そう、可憐よ。顔が良くて、スタイルが良くて、性格も良い。まさに可憐な女。こんな女、世の男性は放っておかないでしょうね。でも、私って処女なの。入る宗教は決まってないけど、私は一生処女で居続けるって決めてるの。これが私の信仰。どんな時でも、何があっても、私は私の信仰を決して曲げない。だから、ね、童貞真面目ノーム君。アナタが自分の信仰を信じられなくなったら、私を思い出して。童貞でいる事に苦しくなったら、私を思い出して。アナタは一人じゃない。私も、アナタと一緒に、貞操を守り続けているから」


「ううっ……! トクトリスさん……! ありがとうっ……!」


童貞真面目ノーム君は慟哭した。

見ると、周りの男子も涙ぐんでいた。


「トクトリスさん…聖女だ…」

「もう半分女神だろ…!」

「トクトリスさんが処女でいるなら…俺も童貞でいるぜ!!」

「ぼ、ぼくだって!!」

「オレは素人童貞だけど…、いいかな?」

「うおおおおおおお!!! トク・トリ・ス!!! トク・トリ・ス!!!」


「トク・トリ・ス!!!! トク・トリ・ス!!!! トク・トリ・ス!!!!」


大浴場はトクトリスコールに包まれた。

裏カジノでも似たような事があった気がする。

男性はコールするのが好きなのかもしれない。



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