3話 アニメと由奈(紗羅)

紗羅


 翌朝、家に由奈を泊めた後、紗羅はパソコンで調べものをしていた。流石に姉弟だけあって思付く事は同じだった。優斗がアパートでそうした様に紗羅も突然人間が現れる現象を調べていた。テレポート。タイムリープ。色々な情報があったがどれも似ている様で判然としない。雷が関係している事は分かった。神隠しだろうか? 時間転移と言うのもある。調べれば調べる程頭が痛くなってくる。


 そしてもっこりと掛布団が盛り上がった。


「お姉ちゃん」


 由奈が起きてくる。寝ぼけ眼の目を擦っていた。紗羅を見つめるその瞳にははてなが浮かんでいる。


 一旦手を止め、紗羅は笑顔で振り向いた。


「なに」


「何をしているのじゃ?」


「あなたを返す手掛かりを探してる」


「お兄ちゃんは?」


「さあ?」


 ちょっとだけ悲しそうな顔をされて紗羅が慌てる。


「心配しなくても大丈夫よ。多分後でこっちに来るだろうから」


 懐かれたな優斗、と紗羅は複雑な表情を浮かべていた。ふと何かに思い当たった。


「そうだ由奈ちゃん。生年月日って分かる?」


 由奈の情報が少なすぎる。その事実は考えを狭めるだけだった。本人がいるのだから、聞けばいい。そう思ったのだ。


 だが首を振るばかりで結局手掛かりは得られなかった。


「今日、何曜日じゃ?」


「え。水曜日だけど」


 由奈の目が輝きだす。


「テレビ見て、いいかの?」


「いいわよ」


 もちろんとリモコンを手渡す。受け取った由奈がテレビをつける。そこにはニュースがながれていた。何度もチャンネルを変えて焦った表情が浮かぶ。番組が切り替わる、それでも諦めきれずに変えまくる。


「おかしいのじゃ、銀狐さんやってないのじゃ!」


「それってなに?」


「アニメ」


 九時を少し廻っていた。


「なんの?」


「ヤキモチやきキツネの銀狐さんじゃ」


 そう言えば昔優斗がはまってたな、と思い出す。ん? と紗羅は思い直した。


「そか、あのアニメ確かもうやってなかったわね」


 急いで紗羅がキーを連打した。銀狐さんを入力して情報を集めていく。

ぽかんと紗羅を眺めて由奈がリモコンを放り出す。


「八年前にやってたのが最後か」


 そして再びパソコンと格闘するのだった。 



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