第2話 大事なお話は面接の時に
会社を辞めた理由を考えてみよう。十人十色の背景はあるが私の場合はキャリアの不透明性が大きい。人間関係や不得意な業務内容は配属先によって大きく違うので、今この時を何とか過ごせば何ら問題はない。喉元過ぎればなんとやら、である。しかしキャリアとなれば話が違ってくる。なぜなら5年後10年後の継続的な話になってくるからだ。
会社は我々を長く手元に残しておきたいと考える。対して素直な新人はその期待に答えようと長くいられるように自分なりの将来プランを設計する。しかしそれをハナから否定されたらどうだろうか。
たとえば私は5年後海外拠点に赴きたいと伝えた。それは自分が帰国子女だからである。上位職の回答はどの部署でどんな仕事をしたいのか、というものだった。そう答えを聞くと社内の情報を集めた。しかしそこにはこれといったものはなく、具体的な条件が記されていなかった。プライベートで上司に話を聞くと「海外に行きたいという希望を言い続けるんだ。」というアドバイスをもらった。
「仕事内容はいくら調べてからないからね」と役職持ちの中年は付け加える。ではあなたがどうして海外に行けたのか、と問うと、「大学で外国語専攻していた。」と返答が来た。
ならば条件は揃っている。そして問題になるのが、この会社が海外でどのような仕事をしているのかわからなかった点である。国や地域でも内容が大きく変わり、ここに「行きたい!」と思えるようになるには社内でのキャリアを充分に成形して、社内人として独り立ちできるようになってからだと思った。
ここまで来てようやく道が長いことを実感する。しかしここにてまた新たな条件が持ち上がった。それは「順番待ち」である。
海外希望の人員が列をなして控えているのだ。その長さは未知数で、駐在後再度行きたい組や長年苦行に耐え、今か今かと待ち構える先輩方もいる。
もはや条件を満たす事や上司に気に入れられることだけではなく、それ以上の運が必要だと痛感した。順番だけはどうにもならない。これは社内の秩序を保つための処置だ。ということは海外人員育成のためのプロセスも「いつか」来るまでお預けということになる。そんな来るか来ないかわからない時のために、実力を維持し続けることができるだろうか。
無理である。ふざけんじゃねえ。
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