第6話

店内はまだ現状はそのまま。床の砂粒とゴーレムの砂をレヴィは見比べている。


「やはりそうでしたか。

 推測は当たりのようです。イグリス。

 ゴーレムの砂とこの砂。同じです」


見た目は同じように見えるけれど、同じかどうかは分からない。見た目だけでは道の砂と変わらない。


「本当に同じか。分からないだろ。

 まさか、ゴーレムを使って殺した。

 レヴィは思っているのか。都合よくゴーレムを動かせるか。それにお金。回収出来なくなるだろ。殺してお金回収出来なくなっても殺す理由なんてないだろ」


「一理ありますが、現場に戻った理由は他にもあります。覚えていますか。お兄さんが付けていたネックレス」


イグリスはネックレスまでは目に入らなかった。そんなものをしていたカナと首を傾げればレヴィが言った。


「ええ。半分かけたハートの」


第一発見者の従業員の女性が事情聴取が終わったのか、店に戻ってきた。首にはレヴィが言ったネックレスと同じかけたハートのネックレスがついていた。


「あの。質問いいか」


「騎士にも散々聞かれて、荷物を持ってら早く帰りたいの。ほっといてくれるかしら」


「1つだけ、お願いだ」


イグリスが頭を下げたら渋々なんですかと、彼女は応じてくれた。


「ギルド長と恋人か」


隣でレヴィに直球すぎます、そこが可愛いですけどと言われて鳥肌がたった。イグリスの直球が功をそうした。


「あなた、遠慮ないわね。直球さに免じて教えてあげる。そうよ付き合っているわ。じゃあね」


荷物を持って彼女はさっさと行ってしまう。答えは聞けたから成果だろう。


「殺しの理由ではないでしょうか。

 ゴーレム付きのギルド登録者を張り込みしましょう」


「なんでだよ」


「あきらかに逃げちゃいそうな人が居るじゃないですか。逃げたらどうなるかも見たら証拠になるかも。映像残せる道具ないですか」


「ある。探偵だからな」


「あるのですか。なら、それもって張り込みましょう。行きますよ」


「待て、行く前に事務所に寄って道具取って来てからだ」


「分かってますよ」


レヴィがイグリスの右手を掴んで走り出す。運動不足のイグリスにはかなり過酷だった。

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夢魔の使い魔は犯罪者の夢がお好き アイリス @2568_aecd

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