第5話

ギルドはまだお昼前だということもあって、かなりの賑わいを見せた。良い意味でも悪い意味でもだ。


「騎士の方々。早いですね。

 側で話を盗み聞きしましょう」


レヴィは知らないのだ。騎士団には殺人担当、窃盗担当、失せ物担当などなど色々な担当部署がある。


「弟が死んだ。金も返さずに迷惑な話しです。

 おれが弟を殺した。馬鹿馬鹿しい。おれは昨日も今日もずっとギルドにいました」


嘘か本当か判断する手段はない。本当は外出ぐらいしたかもしれない。


「おねぇさん。あのゴーレムはなに」


レヴィが話を盗み聞きすると言っておきながら、受付の女性に話しかけている。ゴーレム。確かに酒を飲んでいる男達の後ろにゴーレムがいる。


「あれね。ゴーレムが監視をしているのよ。

 ギルド長が作ったの。無銭飲食も増えて。

 金を貸したら返さない。そんな人ばかりで。

 見てて。面白いものが見られるわよ」


今まさにお酒を飲むだけ飲んで、お金を払わずに出て行こうとしたおじさん3人組をゴーレムが首根っこを掴んだ。


「金。払う。鉄則。掟」


「離せ。土人形」


「ネリーさん。こいつら無銭飲食」


「ありがとう。早く払ってもらいましょうか」


「金なんかあるか。クソ女」


女性に対してクソ女。流石荒くれ者集団。ギルドは荒っぽい奴らが多いから言葉遣いが汚い奴らも当然いる。


「なんだこれ」


文句を言っていた男の取り巻き達の足が、崩れたゴーレムが土の塊になって足止めをしている。文句を言っていた男も同じ。


「こんな感じで足止めしてくれので助かってます。他にもゴーレムが色々やってくれるので、助かってますよ」


「へぇ、ゴーレムが」


騎士達がいなくなり、兄に話を聞いたが騎士に話たからと相手にしてくれなかった。


「誰が犯人なんだ」


「分からないのですか?イグリス」


「レヴィは分かったのか」


「ええ。必要なものは採取出来ました。

 現場に戻りましょう。大丈夫。

 わたしの推理外れないので」


その自身は何処からくるのだろう。分かった事と言えば、死んだ彼が借金まみれだったこと。弟から恨まれていたこと。ゴーレム作りの達人。イグリスにはまったく犯人の検討がつかなかった。

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