第4話
騎士団に報告したら余計なことはするなよ。念を押された。いつも引っ掻き回して間違った推理をしていたのは俺だ。言われても仕方ない。
「行きましょうか。イグリス」
「何処へ」
「情報収集」
犯行現場の靴屋ではなく、隣のパン屋にレヴィは向かった。パンをショーウィンドーに並べていたおばさんに話しかけた。
「こんにちは」
「いらっしゃい。
貴族のお客さんに頼まれたのかい。
なんになさいましょうか」
レヴィが執事服を着ていたから頼まれて来たのだとおばさんは思ったのだろう。
「全部美味しそうだな。食パンちょうだい」
「はいよ」
「お隣が騒がしいけど何かありましたか?」
「靴屋の店主が死んだそうだよ。
借金もあったみたいでね。10シクルだよ」
おばさんが食パンを袋に入れているすきに、イグリスがレヴィに10シクルを渡す。
「これでいいですか。借金ですか。
靴屋が廃れているようには見えませんけど」
「ギャンブル。酒。特に酒癖が悪くてね。
ギルド長をやっている兄貴にもお金を借りているそうだよ」
「そうですか」
「まったく金も返さず死んじまうなんて。
兄貴も可哀想だね。また来ておくれ」
食パンをレヴィがイグリスに渡した。焼きたてなのか、まだ温かかった。
「パンの種類。あまり知らないので。
食パンで良かったですか。イグリス」
「なんでもいい。行くぞ」
レヴィは何処へなんて間抜けな事は聞かず、分かりましたと笑顔で頷いた。
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