第三十五草

結局、あの後サラマンドラさんは、松五郎さんによって、養蜂をやっている知り合いに引き渡され、そこで働くようになったらしい。


でも、フレイナさんが張った結界のおかげなのか、今のところ、大人しく働いているとか。


そして


サラマンドラ「美味い!!」


そのサラマンドラさんは、僕の家で夕食を食べている。


...........どうしてこうなった。


サラマンドラ「草など、食えたものではないと思っていたが...........これは美味いな!!」

若葉「は、はぁ」


サラマンドラさんの言葉に対し、思わず、そんな言葉を漏らす僕。


サラマンドラ「しかし......エルフの連中はともかく、まさか、妖精がこんな田舎町いるとはな.....」

若葉「え?妖精ってそんなにレアな存在なんですか?」

サラマンドラ「あぁ、そもそも妖精は自然が具現化した存在だ。それに加え、妖精達は滅多に人の前に現れないのだ」


へぇ、そうなのか。


..........ん?てことは


若葉「ひょっとして妖精が住み着いていること自体、ヤバいってことなんですかね?」

サラマンドラ「そうだが?」


oh.......


サラマンドラ「それに、がこの町にいる時点で、普通の田舎町ではないがな」


光の子...........まさか!?


若葉「それって......悠一くんのことですか!?」

サラマンドラ「そうだ。奴こそが光の子、奴こそが勇者なのだ」

若葉「勇者..........」


サラマンドラの言葉を聞き、僕は、何となくだけど、何故、悠一くんが変な夢を見るのかが分かったような気がした。


若葉「......勇者って、定期的に生まれるようなものなんですかね?」

サラマンドラ「あぁ、勇者が生まれれば魔王が生まれ、魔王が生まれれば勇者が生まれる...........それが俺の世界の摂理だ」 


いわゆる、世界の理的なやつなのか?


サラマンドラ「俺の支えていた主.....ダエーワは、過去最強と呼ばれる魔王だ。現に、エルフ達の結界を破壊したのも、ダエーワだからな」

若葉「...........てことは、そのダエーワがこの世界に来る可能性があるってことですか!?」

サラマンドラ「その可能性はあると思えばいい」


嘘ぉ!?


サラマンドラ「だが.....この世界には魔力を持っている人間が少ない。仮に、魔法を扱うとしても、小さな火しか生み出せないだろうな」

若葉「え?それじゃあ、何でフレイナさん達は結界を張れたんですかね?」

サラマンドラ「お前が育てた植物の中に、魔力を満たす物でもあったのではないか?」


魔力を満たす物......あっ!!


若葉「MPタンポポ!!」


そうか!!フレイナさん達は、MPタンポポを日常的に食べてたおかげで、結界を張ることが出来たんだ!!


......てことは


若葉「MPタンポポを食べてる僕でも、魔法が使える......?」

サラマンドラ「かもしれんな」

若葉「マジで!?」


衝撃の事実が判明した、とある昼下がりなのだった。






☆☆☆

サラマンドラ

魔王軍にて、四天王の一人として活躍していたものの、魔王ダエーワによって、理不尽に世界から追放されてしまう。

その後、異世界に転移したものの、八つ当たりで森に火を放ちながら、移動していたところ、運が良いのか悪いのか、エルフの結界が張られている木之下町に辿り着き、御用となってしまうが、エルフ達の情けによって、松五郎の知り合いの養蜂家に住み込みで働くことになる。

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スキル【雑草栽培】で町おこし!?〜なお、雑草は雑草でもファンタジーな雑草でした〜 @marumarumarumori

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