九月

第三十四草

九月は、夏と秋の狭間の季節だ。


だからなのか、八月よりかはマシな熱さになっている。


まぁ、熱いのは熱いけどさ。


んで、それはいいとして.......


サラマンドラ「離せ!!」


今現在.......僕の目の前には、隣町の山火事の元凶がいる。


サラマンドラ「クソッ!!何故、四天王であるこの俺が、エルフ共に捕まらなければならないのだ!!」


うわぁ、いかにもファンタジーっぽい発言してる。


というか、身体に大きなツノと尻尾がある時点で、既にファンタジーなんだよな。


フレイナ「念の為に、結界を張っておいて良かったですね」

若葉「フレイナさん、この人?は一体?」

フレイナ「この方は.....炎のサラマンドラ。魔王の部下にして、四天王の一人です」


四天王!?


やっぱりファンタジーっぽい!!


松五郎「コイツが.......魔王軍」

サラマンドラ「.................元、だがな」


元?


フレイナ「なるほど、どうりで弱かったわけですね」

サラマンドラ「.......チッ」


フレイナさんの言葉を聞き、舌打ちをするサラマンドラさん。


松五郎「しっかし、四天王かぁ.......何でまた、そんな奴がここに?」

サラマンドラ「それはこっちの台詞だ!!ダエーワ様の攻撃を食らったと思ったら、突然見知らぬ森に転移した、こっちの身にもなれ!!」


プリプリと怒りながら、そう言うサラマンドラさん。


それは、フレイナさんも同じだったようで


フレイナ「自身の部下を追放するだけではなく、この世界に転移させるとは............魔王ダエーワ、あなたはどこまでも愚かなのですか」


と、怒りに震えながら、そう呟いた。


サラマンドラ「......俺に同情してるのか?」

フレイナ「勘違いしないでください。私は、部下を簡単に切り捨てる魔王に怒っているだけですので」

サラマンドラ「..........そうかよ」


ぶっきらぼうに、そう呟くサラマンドラさん。


............ひょっとして


若葉「ヤケクソで山火事を起こしたのか?」

サラマンドラ「.................」


どうやら、図星らしい。


フレイナ「それで?この方をどうしますか?」

松五郎「うーむ。本来なら、警察に突き出したいが.....」

若葉「魔法云々のことになると、信用してくれない可能性が高いですからね」


いい大人が、何言ってんだってなりそうだしね。


そう思っていたら、松五郎さんが、何かを思いついたかのように、こう叫んだ。


松五郎「あ、そうじゃ!!ワシにいい考えがあるぞ!!」

若葉「え!?どんなアイデアですか?」

松五郎「いや何、ワシの知り合いに養蜂をやっとる奴がいてな、そいつの従業員として働かせる」

サラマンドラ「は!?」


松五郎さんの提案に対し、そう叫ぶサラマンドラさん。


フレイナ「あ、それはいいアイデアですね」

サラマンドラ「ま、待て!!何故、俺が人間と働かなければならないのだ!!」

若葉「働かざる者食うべからず、ですからね」

サラマンドラ「何故だ、何故だ何故だ何故だ.....何故だぁぁぁぁ!?」

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