第三十三草

若葉「え?パトロール......ですか?」


ある日の昼下がり、寺本さんの言葉に対し、そう言う僕。


松五郎「あぁ。最近、火事とかが多いだろ?だから、その防止も兼ねてパトロールをしようと思ってな」


なるほど..........確かに、この前、隣町で山火事が起こってたし.....心配になって当然だよね。


若葉「それは良いアイデアですね」

松五郎「だろう?その話をフレイナさん達にしたらな、結界を張るとか何とかって」


...........え?


若葉「結界って...........バリア的なアレですか?」

松五郎「多分、そうじゃろうな」


嘘ぉ!?


フレイナさんって、結界が張れるの!?


流石はエルフ、凄いなぁ。


松五郎「しかし.............フレイナさんが結界を張ると言い出したということは」

若葉「......何かある、ということですかね?」


普通、ただの火事対策で、結界なんて張らないし.....


若葉「ひょっとして、フレイナさんは何か知ってるんですかね?」

松五郎「かもしれんな」


だとしたら...........フレイナさんが故郷を追われたことと、何か関係があるのか?


だとしたら、色々と納得がいくな。


松五郎「どうかしたのか?」

若葉「あ、いえ、何でもないです!!」


それにしても.....結界かぁ。


そういえば、エルフの人達によれば、フレイナさんは巫女なんだっけ?


..............フレイナさんって、凄い人なんだな。


松五郎「しっかし.......まさか、隣町で山火事が起こるとはな」


最近起こった、山火事に対して、心配そうに、呟く松五郎さん。


若葉「アレって、結局放火なんですかね?」

松五郎「かもしれないな」


放火.......


松五郎「だけど、隣町の知り合い曰く.......その山火事で奇妙なことがあったらしい」

若葉「奇妙なこと?」

松五郎「あぁ。何でも、炎の中で人影を見たとか」

若葉「人影.....」


てことは、放火犯なのか?


松五郎「ただ.....」

若葉「ただ?」

松五郎「その人影には、ツノと尻尾らしき物があったって言ってたな」


ツノと....尻尾?


若葉「見間違い...........ですかね?」

松五郎「本人もそう信じたがってたよ」


何でだろう..........どことなく、嫌な予感がするんだが。


若葉「あ、あの!!僕もそのパトロールに参加してもいいですか!!」

松五郎「もちろん!!若い者が参加するだけでも、ワシらジジイは嬉しいもんじゃからな」


念のために、このことをフレイナさん達にも伝えようかな。

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