第十七草

岳「初めまして、芹沼セリヌマガクと言います。どうぞよろしくお願いします」

若葉「こちらこそ、よろしくお願いします」


あれから数日後、僕の家に、さくらちゃんのお父さんこと、岳さんがやって来た。


何でも..........さくらちゃんから、料理を作って欲しいと直々に言われたらしい。


さくらちゃん.................有言実行したのね。


若葉「ちなみに、岳さんはどの程度料理をするんですか?」

岳「その...........カップ麺程度なら」

若葉「あっ.......」


oh.................


若葉「じゃ、じゃあ!!今日はチャーハンを作りましょう!!」


とまぁ、そんなわけで..........今現在の僕は、岳さんに、チャーハンの作り方を教えている。


若葉「ではまず、先に卵を炒めてください」

岳「分かりました」


慣れていない手つきで、チャーハンを作る岳さん。


しかしながら、その顔は真剣で、しっかりとメモを取っていた。


若葉「そこに、ご飯を入れて混ぜます」

岳「こう.....ですかね?」


慎重に、フライパンの中にご飯を入れる額さん。


若葉「そうそう!!そんな感じです!!」


僕が褒めると、岳さんは照れながら、こう言った。


岳「..........料理って楽しいですね」

若葉「えぇ!!」


その後、塩コショウや鶏がらスープの素を使い、味付けをして、チャーハンが完成した。


んで、その味は..........


岳「........美味しい」

若葉「ですね」


とっても美味しくできたみたいだ。


岳「私でも..........料理は出来るんですね」

若葉「岳さん、その意気ですよ!!」


これで、岳さんに、料理に対する、自信がついてくれたらいいな。


そう思っていた時、岳さんは口を開き、こう言った。


岳「...........私の妻は、料理上手でした。ですから、家事のほとんどを妻に任せっきりだったんです」

若葉「.................」

岳「だからなんでしょうね、僕は娘の願いを叶えられない、ダメな父親になってしまったんです」


悲しげにそう言う、岳さん。


岳「でも..........今回、料理を作ってみて分かったんです。料理をするのが、いかに大変で、いかに楽しいことなのかを」

若葉「岳さん......」

岳「若葉くん、娘の願いを聞いてくれて.................ありがとう」


そして、岳さんの目には..........涙が浮かんでいた。


若葉「いえいえ、僕はさくらちゃんの話を聞いただけですから」

岳「そうですか...........では、これからもウチのさくらをよろしく頼みます」


こうして、岳さんと仲良くなった、僕なのだった。






☆☆☆

芹沼岳

さくらの父親

かつて、妻がいたものの、交通事故で亡くしている。

仕事が忙しく、さくらにあまり構ってはいないが、それでもさくらのことを愛している。

しかし、忙しすぎるあまり、料理はやったことはなく...........一人暮らしの時は、ほとんどカップ麺を食べていたとか。

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