第十一草

若葉「.................」


今日は、町おこし委員会の日。


つまり、寺本さん達の前で、僕と田中さんの合作である、コロッケを披露する日だ。


若葉「うぅ.....緊張するなぁ...........」

田中「そりゃあ、自分の作った料理を振る舞うわけだ。緊張しないわけがないよな」


そう言うと、背中をバンバンと叩く田中さん。


若葉「よし!!行くぞ!!」


覚悟を決め、町おこし委員会が行われている部屋に入る僕。


部屋の中には、寺本さんを含めた、町民達がいた。


松五郎「待ってぞ!!若葉くん!!」

委員①「あら?このイケメンが例の若葉くんなのね」

委員②「ていうか、さっきから美味そうな匂いがするんだが」

委員③「だな」


どうやら、僕に対する、委員会の人達の反応は、まずまずなとこらしい。


松五郎「もしかして、それが例のコロッケか?」


僕の作ったコロッケに気づいたのか、そう言う寺本さん。


若葉「は、はい!!」

委員③「ほぉ〜、美味そうじゃねぇか」

委員①「早く食べてみたいわ〜」

委員④「でも、コロッケってありきたりなんじゃないの?」


ゔっ...........痛いところを突いてくるなぁ。


松五郎「まぁまぁ、とりあえず食べたようじゃないか」


寺本さんの一言によって、コロッケに手を伸ばす委員会の人達。


うぅ〜、ドキドキするなぁ.......


松五郎「ではでは..........いただきます」

町おこし委員会「「「「いただきます!!」」」」


そう言った後、委員会の人達は、一斉にコロッケを食べた。


すると..........


松五郎「美味い!!」

委員①「中のお芋部分が、クリーミーで美味しいわ〜」

委員②「それに、このハーブも美味いぞ!!」

委員③「中に入っている肉..........まさか猪の肉か!?」

委員④「猪の肉ってコロッケに出来るんだな.................」


みんなの顔が明るくなり、口々にそう言った。


松五郎「いや〜、やっぱり若葉くんの料理は美味いなぁ〜」

若葉「いえいえ、そんな.......」

委員④「ところで、このコロッケはなんていう名前なんだ?」


あ!!しまった!!


名前のことをすっかり忘れてたよ!!


若葉「え、えっと..........」


そういえば、アールヴ花って確か..........


若葉「〈エルフの好物〉って呼ばれてたっけ?」

田中「〈エルフの好物〉!!いい名前じゃないか!!」

若葉「へ?」


しまった!?


つい口に出しちゃった!!


委員①「〈エルフの好物〉..........うん、いいわね!!」

委員②「あぁ!!」

委員③「ところで、エルフって何だ?」

委員④「さぁ?」


...........まぁ、言っちゃったものは仕方ないし、これで行くか。


松五郎「というわけで!!このコロッケ..........〈エルフの好物〉を木之下町の名物にするぞ!!」

町おこし委員会「「「「オォッ!!」」」」


そんなわけで、あれよあれよという間に、街の名物候補が爆誕したのだった。

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