〈閑話〉エルフ達の危機

さて、ここは剣と魔法の世界【ウィザリア】


この世界では、魔法や森人族エルフ小人族ドワーフ獣人族ビースト...........などなどの、ファンタジー的な要素が日常として溶け込んでおり、他の種族とは、良い関係を築いていた。


しかし...........ファンタジーな世界の宿命なのか、【ウィザリア】には、魔王の魔の手が迫っていた。


エルフの兵士①「長老!!巫女様!!魔王軍が結界を突破してきました!!」

長老「.........やはり来たか」


エルフ達が住まう森.........ピクシオンは、今現在、魔王軍との戦いの地と化していた。


魔王。


それは、数百年に一度、闇から生まれ、世界を闇で包まんとする存在。


自身と同じく、闇から生まれた魔族を率いて、光から生まれ、世界を光で包む勇者と戦い、勇者によって滅ぼされる運命を持ちし王..........それこそが魔王なのである。


そのため、【ウィザリア】では、魔王対策とは様々な準備がなされていたのだが.................今回の魔王、ダエーワは違った。


フレイナ「今回の魔王は、今までの魔王よりも力が強い.........だからこそ、先々代の巫女が張った結界が突破されたのでしょうね」


そう言うのは、森人族エルフを取り纏める、もう一人の長こと、巫女のフレイナであった。


長老「.......フレイナか」

フレイナ「長老.............いえ、お父様。このままだと、我らの里が火の海に包まれるのは時間の問題です。どうかご決断を」


フレイナがそう言うと、森人エルフ族の長老はしばらく考えた後.................こう言った。


長老「フレイナよ。お前は民を連れ、ここから逃げよ」

フレイナ「............え?」


それは、フレイナにとっては衝撃的な発言であった。


フレイナ「な、何を言って」

長老「.................群れを作って暮らす生物には、彼らを率いる優秀な指導者がいる。だが、その指導者がいなくなれば、残された者達は混乱するだろう」

フレイナ「で、でも!!」

長老「それに、このピクシオンはもうすぐ滅びる。だからこそ、かつて、先々代の長老と巫女がこの土地を見つけたように、第二のピクシオンとなる土地を見つけて欲しいのだ」


フレイナに対し、そう淡々と告げる長老。


それに対し、フレイナは長老が本気だと察したのか


フレイナ「分かり.......ました」


涙を流しながら、長老の言葉を受け入れ、戦うことを選んだ者以外の、森人族エルフと共に、ピクシオンから去るのだった。


そして、フレイナ達がピクシオンから離れて数分後.............長老の下に、魔王ダエーワが現れた。


長老「.................貴様が魔王ダエーワか」

ダエーワ「そういうお前は、森人族エルフの長の一人、ヴァルギュスだな?」

長老「...................そうだ」


長老がそう答えると、ダエーワは剣をとり


ダエーワ「ならば死ね」


顔色一つ変えず、長老の体に剣を突き刺した。


魔族①「ダエーワ様、里の制圧が完了しました」

ダエーワ「.......つまらん」

魔族①「は?」

ダエーワ「やはり、我を昂らせるのは勇者だけ.................か」

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