第五草
若葉「え?僕のハーブを?」
ある日の昼下がりにて、僕は、すずさんから、育てている雑草を売ってみないかと言われた。
すず「ほら、この前、若葉くんが、MPタンポポの根で作ったコーヒーがあるでしょ?そのコーヒーを、カフェ・ふくろうの店長が気に入っちゃってね。ぜひ売ってくれって言ってるの」
カフェ・ふくろうというのは、木之下町にある小さなカフェで、町のおじいちゃん、おばあちゃんの憩いの場所なのである。
カフェ・ふくろうを経営している店長は、コーヒーに関しては人一倍厳しいんだけど.................
若葉「まさか、あのコーヒーが、マスターに認められるなんて.................」
すず「まぁ、あのコーヒーは美味しいからねぇ」
そう言うと、MPタンポポコーヒーを飲むすずさん。
すず「それにしても、ネットってものはすごいねぇ。一つ検索すれば、たくさんの情報が出るんだから、もう私みたいなババアは追いつけないわ〜」
若葉「いえいえ、すずさんも使いこなせるようになると思いますよ」
すず「もぅ!!若葉くんったら〜」
僕の言葉に対し、嬉しそうに反応するすずさん。
しかし...............たまに、腰を大事そうに触っていた。
若葉「...........すずさん、ひょっとして、腰をやっちゃったんですか?」
すず「そうなのよ〜!!荷物を持った時に、グギッってなっちゃってね〜」
すずさんは、アハハと笑い飛ばしていたけど.................少し心配だな。
あ!!そうだ!!
若葉「ちょっと待っててくださいね!!」
僕はそう言った後、冷蔵庫の野菜室の中にあった、ミラクルコーンを片手に、すずさんに渡した。
若葉「これを食べて、腰を治してください!!」
ミラクルって名前がついてるなら、腰痛だって治せる.......はず。
すず「まぁ!!美味しそうなベビーコーンね」
すずさんの反応は上々で、どうやら、ベビーコーンと思っているようだ。
すず「若葉くんの心遣いが優しすぎて、私、泣きそうだわ〜」
若葉「いえいえ。こちらこそ、普段お世話になっているお礼ってことで」
僕は、微笑みながらそう言うと
すず「若葉くん........ありがとう」
嬉しそうに、僕に抱きついてきた。
..............その顔は、心なしか泣きそうになっていた。
若葉「喜んでもらえたのなら、何よりです」
.................何でだろう。
おばあちゃんの嬉しそうな顔を見るだけで、心が癒される〜。
これはアレか?癒し効果ってやつか?
若葉「あ、どうせでしたら、浅漬けも食べますか?」
すず「まぁ!!いいの?ありがとう〜」
この時の僕は、ミラクルコーンの力で、すずさんの腰が良くなればいいと思っていたけど.............ミラクルコーンの力が、僕の想像以上だったことを、後々、思い知らされるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます