第三草

僕がスキルに目覚めてから、数日が経った。


あれから、雑草を育てては、食べるということが習慣化し、どういうわけか、疲れやすかった僕の体は、嘘みたいに軽くなった。


もしかしたら、あの雑草の力なのかもしれない。


.................雑草パワーって凄いね。


若葉「今日は、ケアル草を茹でて、ラーメンの具にでもしようかな」


ケアル草は、食感は水菜に似ているものの、味はキャベツそのもので、とても美味しい。


それに加えて、焼いても茹でても美味しいので、僕は毎日のように食べている。


もちろん、MPタンポポも毎日食べてる。


ネットとかで調べたところ、タンポポコーヒーなるものを見つけたので、試しにMPタンポポで作ってみたら.................めっちゃ美味しかった。


なので、MPタンポポコーヒーも毎日飲んでいる。


すず「こんにちは〜」

若葉「あ、こんにちは!!」


今、僕に挨拶してきた人は、村上ムラカミすずさんという人で、僕の近所に暮らしているおばあさんで、いわゆるご近所さんというやつだ。


だけど、すずさんは一人で暮らしているから、ちょっと心配なんだよね。


すず「今日も元気そうで何よりだわ〜」

若葉「アハハ!!分かります?」

すず「その元気を、私みたいなババアにも分けて欲しいわ〜」


自虐ネタを交えながら、そう言うすずさん。


実を言うと.................すずさんとの会話が、僕の癒しなのだ。


若葉「あ、そうだ。良かったらコレ食べますか?」

すず「あら?これは............?」

若葉「僕の庭で育てたハーブです!!」


そう言うと、すずさんに育てた雑草を渡す僕。


.......雑草だなんて、口が裂けても言えないよ。


すず「まぁ!!そうなの?何だか申し訳ないわ〜」

若葉「いえいえ、お互い様ですよ」

すず「それじゃあ............ハイ!!これは私からのお返し!!」

若葉「こ、これって.......」


すずさんから貰ったもの、それは.................いくつかの大きな玉ねぎだった。


若葉「あ、ありがとうございます!!」


そう言うと、深々と頭を下げる僕。


すず「いいのよ。だって.....私達はご近所さんじゃないの」


僕に向け、ニコニコとした笑顔を向けるすずさん。


くぅ!!眩しいぜ!!


すず「今は新玉ねぎの季節だから、サラダとか、かき揚げにしたら美味しいわよ〜」

若葉「なるほどなるほど..........」


すずさんの知恵は色々と勉強になるなぁ。


若葉「新玉ねぎのステーキもいいかもしれませんね」

すず「若葉くん.......あなたって天才なの?」


チョンチョンと肘で僕を突きながら、そう言うすずさん。


.................何でかよく分からないけど、おばあちゃんって癒されるよね。


若葉「褒めても何も出ませんよ〜」

すず「いや〜、私、今は一人で暮らしているでしょ?だから、若葉くんと喋らないとダメなババアになっちゃったのよ〜(笑)」


肘チョンチョンからの、背中叩きにシフトチェンジをするすずさん。


すず「それじゃあ、今日も頑張りましょ〜」

若葉「はい!!」






☆☆☆

村上すず

若葉の隣に住んでいるおばあちゃん。

いわゆる、ご近所さんと呼ばれる関係性で、若葉に対して、よく気さくに話しかけている。

しかし、数年前に夫を亡くしているため、今現在は一人暮らしをしている。

料理が得意で、特に煮物が絶品。

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