第166話 ハーレム

「ここは孤児院ですからね? マコトさん。解ってますよね? 子供たちもいるのですから、見つからない様にほどほどにお願いしますよ」


「え? ほどほど? ああ、大丈夫だよ。そんな事にはならないさ」

てっきり怒られるのかと思ったが、ほどほどなら良いのか…………。


「そうですか? 私ももう少し体が成長したら遅ればせながら、参戦させて頂くつもりです。私は知識はあるのですが体が追いつかないので、すいません。もう少し待ってください」


「いやいや、無理するなよ。大丈夫だから心配するな。ロレッタが考えているような事にはならないから」


「そうは思えないのですが…………。でも、今の言葉をマコトさんが私の成長を待っていてくれるのだと私は受け止める事にしますね――。あ、もうお昼が近いですけどマコトさんの朝食を用意してありますよ。食堂にいきましょう」


 ロレッタはスタスタと食堂に向かって歩きはじめてしまった。

 後姿しか見えないのでロレッタが今どんな顔をしているのかは解らないが耳は見える。


 アナと違って特に赤くはなってないようだ。

 まあ、アナはそもそも感情が表情に出やすい。それに比べてロレッタはあんまり感情を表に出さない方だろう。ユウの様に無表情な訳ではないが、ロレッタはいつも冷静な事が多いので、外からは内心どう思っているか解らない。それでも俺に好意を持っているであろうことは解る。


 しかし、大変な事になってきたな。

 どうやらいつの間にか俺は異世界ハーレムを築き上げていたようだ。ハーレムらしさがないので全然気が付いていなかったが、女性奴隷を多く抱えている俺は他の男からみれば羨ましい存在なのかもしれない。


 ただ、ユウは手を出すと攻撃してくるらしいのでハーレムの一員ではないな。彼女はおさわり厳禁だ。

 モグラ族のリーナもさすがに種族が違いすぎるので違うだろう。ガレフに怒られてしまう。

 双子の幼女、カレン&ロレッタは俺に好意を持ってくれていると思うが、コンプラ的にアウトなので却下だ。


 アナは非常に惜しい…………。

 いったい俺の為に何の勉強をして、どんな準備をしてくれるのかと想像するとワクワクドキドキが止まらない。もしかしたら俺の知らない異世界ならではのプレイがあるのかもしれないではないか! 

 途中まで味わってもいいかも? と思うが絶対に最後まで行ってしまう自信があるので、やめておいた方がいいのだろう。今の興奮を考えると途中で辞めるとか無理だ。流されるままに最後まで行ってしまうのは間違いない。

 聖女の貞操を守るために最初から手を出さないのが無難だ…………。


 そう考えるとモモちゃんだけが唯一俺のハーレムメンバーになりえるが、こちらの世界に来て苦楽をともにしてきたモモちゃんは俺にとって姉であり妹でもあり、家族的な存在になってしまったように感じる。大切な存在ではあるが、今はあまりそういう気分にはなれない。

 

 そもそもモモちゃんに恋愛感情などという物が備わっているのだろうか? 

 怪しい所だ。彼女は色気より食い気を地で行くスタイルな気がする。


 今後は解らないが、俺の異世界ハーレムは現時点ではまともに機能していないポンコツハーレムのようだ。


 男なら誰もが夢見るハーレムである。いつかは正常に機能させたい所なのだが……。

 何とかならないものかと今日は一日そんな事を考えて過ごしてしまった――。


 次の日――。


 休養明けである本日はすこぶる体調が良い。また新たな悩みが増えてしまったが、解決策が思いつかないので考えるのは辞めた。

 また状況が変わればいい方法が思いつくかもしれないが、そもそもハーレムは優先順位が低い。あれば楽しそうだが、無くても別に困らないのだ。


 それよりも今日はアナをパーティーメンバーに加えて色々試してみようと思う。


 まずは聞き取り調査だ。朝食の席で色々聞いてみる事にしよう。

 朝、食堂で会ったアナはよく眠れたのか目の下のクマが無くなっているようだ。


「今日はアナをパーティーメンバーに加えてダンジョン探索に行こうと思う。ダンジョン内でアナはどんな貢献ができるか教えて欲しい」


「はい、マコト様。私はいくつかの魔法とフレイルを使って戦う事ができます。お見せした方が早いでしょう。フレイルを部屋から持ってきますね」


 食堂から出て行ったアナはすぐに武器を手に戻ってきた。俺のイメージではフレイルとは棒に鎖が付いていて、その先にトゲトゲの付いた金属の球が付いているイメージだったが、アナの持っている武器は違った。


 棒までは同じだが、鎖はなくて金属で出来たランタンの様な形の物が付いている。そのランタン部分は動くようなので棒を振り回せば金属の球と同じように作用するのだろう。全体的に派手に装飾が施されているので高級そうに見える。

 あれで殴るのはもったいない気もするが、ランタン部分には当然ガラスなどは使ってない。形はランタンだが殴るように頑丈にできていて重量もあるのだろう。俺がもしあれで殴られたら1発で死ねる自信はある。


「このフレイルは私の神聖力で輝かせる事もできます」

 そう言うとアナはフレイルを掲げた。するとランタン部分が発光する。ダンジョン内は明るいので光源は必要ないが、明かりが必要な時には便利かもしれない。


「それと今、私が使える魔法はヒール、キュア、ブレス、バニッシュの4種類です。それぞれ回復、解毒、祝福、衝撃波の効果があります」


「ブレスの祝福ってどんな効果なんだ?」


「ブレスはパーティーメンバーの身体能力向上の効果があります」


 やっと我がパーティに回復がきてくれたようだ。それにバフ! 俺の奴隷強化は自分は強化されないので、他のバフがあると助かる。


 本当は陛下にこういう感じの魔法を期待していたのだが、全然違う魔法だったからなあ。まあ闇魔法だからしょうがないんだが…………。


 それでは今日は俺、モモちゃん、ユウ、カレン、陛下、アナのパーティーで行ってみよう――――!


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