第41話 ギルド長カシフ
しばらく待っているとドアを開けて歴戦の戦士と言った雰囲気の男が入ってきた。
「おう、お前か? 最近話題のオーク奴隷使いは? 俺はここのギルド長のカシフだ」 男は向かいのソファーにドカッと座った。
「私はマコトと言います。ところで私たちは話題になってるんですか?」
「なってるぞ、奴隷に無茶させてダンジョンで荒稼ぎしてるって噂だ」
「? 無茶はさせてないと思うんですけど…………」
「そうなのか? オーク奴隷1匹で10階まで行かせてるって話だったが、違うのか?」
「いえいえ、今は4人で10階行ってますよ」
「4人って言ったって、雑用の子供に、性奴隷とご主人様のパーティーだったら戦ってるのは1人だろうが」
うーん、とんでもない話になっているな。受付さんもそう思っていたのだろうか?
それは辛い…………。 なんとか誤解を解かなければ
「大きな誤解があるようです。確かにこちらのケインは子供なのでまだ戦えませんが、このユウはとても強い剣士です。それに私も弓を使えるのですよ」
「そっちのユウちゃんは知ってるんだよ。この町の奴隷商で買ったんだろう? 有名だぞ。言う事を聞かないから観賞用性奴隷って言われてるんだ。まだ処女だって話だぞ」
性奴隷だったのか、そりゃあ確かに他に役に立ちようがないけど、そんなユウを街中連れ回していた俺はいったい何者だと思われていたのだ…………。
「私はユウを剣士として買いましたので、ダンジョンで戦って貰ってますよ」
「まあ、ダンジョンでどうやって稼ごうかなんて、なんでも良いんだから好きにすればいい。話題になってるのは確実に稼いでいるからだ。しかも今日はダンジョンでマジックバックを手に入れたそうじゃねえか、ますます話題になるぞ」
もうこれ以上話題になってほしくないな。どうにかならないのか…………。
「その話ですけど、これ以上話題になりたくないので、マジックバックが出たって話は内密にできませんかね?」
「内密にって言われても、もうギルド中の噂になってるんじゃないか? 受付でその話したのなら誰かが聞き耳立てて聞いてたはずだぞ」
「はあ、そういうものなんですね。うかつだったな」
「ギルド内での噂話が儲けにつながったりするから、あいつらはそう言う話には敏感だな」
俺たちがギルドの受付で今日はこんなに魔物倒してきましたよー。なんてやっていたのは全部見られていたって事か…………。 それも恥ずかしいな。
「それで本当に10階でマジックバックを手に入れたんだな?」
「ええ、それは間違いないです。10階のボスのクイーンキラービーを倒して、その後に開けた宝箱からでてきました」
「本当の話みたいだな。まあ他に入手する方法はないと思うから、間違いないんだろう。それと今日から探索者ギルドに登録って事で良いな?」
「奴隷はギルド員にはなれないのですよね?」
「そうだ。そういう決まりだな。まあ奴隷がなっても意味ないからな。お前と……マコトだったな。それとそこの坊主」
「俺はケインだ」
「2人には契約書を書いてもらうぞ。契約書の内容は要約するとダンジョン内で起きた事は偽りなく報告して貰うという事と、ダンジョン内でギルド員同士は助け合うべしという事だ。簡単だろ?」
受付さんが契約書を持って部屋に入ってきた。我々の前に契約書を広げる。
内容を読んでも特に問題はなさそうだ。ケインの方を見ると問題ないと頷いている。2人とも契約書にサインする。
「よし、これでマコトとケインは今日から探索者ギルドの一員だ。よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」 「よろしく」
「登録料と年会費は2人とも今回は払わなくていいからな。来年から年会費は払ってくれ。あとこれからローズに図書室を案内させるが、今日はそっちも無料で良いぞ」
「はい、ありがとうございます」 図書室はちょうど行きたかったからこれも助かったな。11階以降の情報が欲しかった。
「じゃあ俺はもう行くから、あとはローズ頼んだぞ」――――
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