第40話 10階ボス 2
「それで、この後はどうすればいいんだ?」
「この後は奥の扉から外に出て、階段を降りると11階のゲートがあるはずだぜ」
「素材を回収したら11階に向かおう。素材は全部マジックバッグに入れおいてくれ」
「おう」 「はい!」 「…………」
ボス部屋を出るとすぐに下り階段が見えた。部屋から出ると自然とドアは閉まる。
『ガチャガチャ』
閉まったドアを開けようとしてみても、やはりこちらからは開かないようだ。こっちからも入れれば、ゲートから近いと思ったが、そんなに簡単ではないな。
階段を降りるといつものゲート部屋に出た。
「このゲートで帰ればいつでも、この11階には来ることができるぜ」
さてどうするかな? 少し11階の様子をみていくか――。
『グー』 ブタちゃんのお腹がなった。
「もうお昼か。今日はここまでにして一度戻ろう」
皆を促して、ゲートをくぐる。慣れ親しんだ1階のゲート部屋についた。俺もなんとなくここが1階だと解るようになってきたな。石壁の欠け具合が1階っぽいのだ。
ダンジョンの外にでて昼飯にする。今日は前から気になっていた屋台に行ってみる事にした。
ここの屋台はホットドッグの様にパンに肉を挟んでいるようだ。ソーセージではないホットドッグを5人前頼んでみんなに配る。
ユウには配るだけではなく口元にも持っていかないと食べない。食べだすと止まらないのできっと気に入っているのだと思う。
ホットドッグとは味が違うが、これもスパイスが効いていて、なかなか美味い。
「ご主人様、これもとても美味しいです」 ブタちゃんは両手にホットドッグっぽいものを抱えてご満悦だ。
広場で食べ終わったら、いつもの様に換金のためにギルドに向かう。
「こんにちはー」
「こんにちは、マコトさん。毎日ご苦労様です」
すっかりギルドのお姉さんとは顔見知りだ。
この美人の受付さんはいつも『凄い凄い』って褒めてくれるから、俺の毎日の癒しとなっている。
今日も褒めてくれるかな? マジックバッグから今日倒した蜂の針をテーブルに出していく。
「あ、それはマジックバッグですか? いいですね、高かったのではないですか?」
「これは今日宝箱から出たんですよー」
「え! 何階から出たのですか? まさか10階じゃないですよね?」
「見てのとおり10階ですよ?」 大量の蜂の針を指さす。
「10階の宝箱からマジックバッグが出たのですか? それは大事件ですよ! 詳しく教えてください。本当なら10階も人気の狩場になりますね。あ、でもマコトさんはギルド員じゃなかった……。やっぱりギルド員なってくれませんか? マジックバッグの情報料としてギルド加入料を無料にしますので、お願いします」
そろそろ探索者ギルドに入らないといけないなと思っていたから丁度いいかな? 加入料をケチって入ってなかっただけだし――。
「パーティーメンバーの4人分を無料にして頂けるんですか?」
「4人とも入って頂けるなら喜んで無料にさせて頂きますが、奴隷身分の方はギルド員にはなれませんので、2人分という事になると思います。では詳しい話は2階でおこないましょう。ギルド長も呼んできます」
「え、わざわざギルド長が来るんですか?」
「そうですよ。私はギルド長から早くあいつらをギルドに加入させろって言われてたんですから、他のギルドに取られてしまう前に早くしろって」
なんと、受付さんが愛想よくしてくれていたのはギルド長の命令だったのか……。
こっちに来てからの唯一のモテ体験だと思っていたのに…………。
「あ、でも私が凄い優秀な人がいるって報告したから、早くギルドにって話になったのですけどね」
なにやら今、俺の心を読まれた気がする。ガッカリしたのが顔に出てしまったのか?
「さすがご主人様ですね。優秀なのばれちゃってますよ」
「ギルド長からスカウトされるなんて凄いぜ!」 「…………」
「それでは2階にご案内しますね」
ニコッと笑って案内しだしたので、黙って後ろから付いて行く。
2階の個室に案内され、俺たちにはソファーに座って待つように言って、受付さんは部屋から出て行った――――。
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