第31話 ダンジョン10階 2

 蜂を倒しながら10階を探索する。


 ケインがマップを埋めてくれているので解らないが、着実にボスの元に近づいているのだろう。今日は戦うつもりはないが、ボスの場所位は解っても良いと思う。


「マコト兄ちゃん。グルっと回って今は比較的ゲートの近くに戻ってきたけど、一度町に戻るか?」


 なんと、先に進んでいると思っていたが戻ってきていたのか……。


 まあこういう迷路みたいな3Dダンジョンはボスまで1本道って訳じゃないよね。今は蜂を30匹倒しているから金貨9枚稼いでいる。


「じゃあ今日はこの位にして買い物に行こうかな」


「おう、じゃあゲートはこっちだぜ」――――。


 ケインに着いて行きながらレベルが上がってないかチェックする。


 名前:タイラ マコト

 種族:人間 性別:男

 職業:奴隷使い

 レベル:15

 スキル:弓術6、潜伏2、奴隷強化1

《習得してないスキル》採取、木工、斧術、トレッキング、細工、陶工、料理、

 スキルポイント5


 レベルが2上がっていた。弓術のスキルレベルを上げておいたお陰で蜂を1撃で倒せたのかもしれない。逆に倒せなかったら一気にピンチになっていたと思う。ブタちゃんが負傷するようになってきたので奴隷強化を3に上げておく。


 名前:モモカ

 種族:ハーフオーク 性別:女

 職業:戦士(奴隷)

 レベル:23

 スキル:怪力3、再生3、採取2、棍術5、皮細工2、解体3、物理抵抗3

《習得してないスキル》盾術

 スキルポイント1

 回避強化 弱


 お、新しいスキルを覚えている。やっぱり使うとスキルを覚えるみたいだな。盾はブタちゃんと相性良いから習得しておこう。ブタちゃんの場合は棍術を上げておいたのに蜂にはなかなか当たらなかった。武器と魔物との相性があるのかもしれない。



 名前:カレン (ケイン)

 種族:人間 性別:女

 職業:ダンジョンガイド

 レベル:15

 スキル:潜伏2、採取2、地図作成2、幸運6

 スキルポイント 2


 ケインもレベルが2上がっているな。ケインはひたすら幸運をあげる。6→8


 何事も無く、ダンジョンの外へと出る事ができた。まずはギルドに戻って毒針を換金してもらう。


 受付のお姉さんに3人でキラービーを大量に倒すなんて『凄い凄い』と褒められたが、その後にまたギルドに誘われたので勧誘目的で褒めてくれたのかもしれない。


 換金結果はケインの言っていた通り金貨9枚になった。


「ほら、ケイン。今日は金貨3枚だ。それと盾は売ると幾ら位だろうか? 盾はブタちゃんに使わせたいんだが」


「アイテムを売らないで使う分にはいちいち分けなくて良いぜ。パーティーの共有財産って事にしよう。今日の稼ぎは金貨3枚もあれば十分すぎるぜ」


「そうか? じゃあそうさせて貰おうか。要らなくなって売った時はちゃんとケインにも分けるからな」


「おう、でも俺たちはパーティーメンバーなんだから遠慮はいらないぜ」


「そうだな、今はパーティーが成長する事を優先していこうか」


 ケインにも俺たちとの仲間意識が生まれてきたようで何よりだ。この絆は大事にしていきたい。今は寝床までお世話になってしまっているからね。


「じゃあ、俺は今日の食料の買い出しに行ってくるぜ。ブタの姉ちゃんの分もいっぱい買って来るからな!」


「ありがとな、助かるよ」  「私はお肉が良いです!」


 ケインが走って行ってしまったので、我々も買い物へと向かう。


「俺たちは装備を見直そうか、ブタちゃんは革装備で全身揃ってるよね?」


「はい、私は元々着ていた胴の革鎧と買って頂いた靴とダンジョンで拾った手袋と帽子があります」


「じゃあ俺の分を買いに行こう。俺の装備は靴以外布製だからね」


 町の広場の防具屋に向かう、メイスを買った武器屋の隣だ。


「こんにちはー」 「いらっしゃいませ」


 防具屋は女性の店員だった。武器屋と同じように壁に飾られている立派な防具は値段が高い。店の奥の洋服の様にラックに掛けられているのが革装備の様だ。


 ここで俺は革装備を端から全て試着していく。


 ステータス画面を見ながら革装備を付けては外してを繰り返していけば、マジック装備を見つける事が出来るはずだ――。


 結構な量の革装備を試着してみたが、マジックアイテムは一つしか見つからなかった…………。


 胴の革鎧 体力強化 弱 


 正直この能力にはかなり期待していたので落胆を隠せない。俺だけが知る事のできる秘密のチートスキルだと思ったのだが、期待外れだった……。


 おそらく過去にノーマルアイテムからマジックアイテムが見つかっていないのは、鑑定料が高いのもあるけど、数が少ないからだと思う。


 たまたま拾った帽子がマジックアイテムだったので店にもたくさんあるかと思ったが、1個でもあっただけ良かったのだろう。


「これください」


「こちらの胴の革鎧は金貨2枚になります。こちらはダンジョン産の装備になりますが、よろしいですか?」


「はい、いいです。ダンジョン産とそれ以外には違いがあるのですか?」


「ダンジョン産はサイズ調整が必要ないと言うのが一番大きな違いです。職人の手によるものはサイズ調整が必要なのと中古表記がないものは全て新品です。ダンジョン産は基本的に全て中古品扱いなので、それを嫌がるお客様もいらっしゃいます」


「解りました。これ金貨2枚です」 「はい、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 店の外に出るとブタちゃんが話しかけてきた。


「ご主人様。胴鎧だけで良かったのですか? 私が使っている手袋使いますか?」


「いや、良いのがなかったから買わなかっただけだよ。今の所は防具はそんなに困ってないから、良いのがあったら買おうと思ってただけなんだ。まだお金があるから次は弓を見に行こう」

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