第1話

県立天ノ宮高等学校


県内でもそこそこの進学校であり俺、大平おおひら大輝だいきもそこの高校2年だ。


2年と言っても今日からの話。2~3週間前に無事進学できたばかりだ。冬休みというのは本当にあっという間だった。成績は中の下ぐらいだが運動はまぁまぁできる。身長も175センチとそこそこ高い。


現在時刻8時15分。学校は家から徒歩5分圏内にある(だからこの高校に決めた)。8時40分までに学校に行けばいいので普段ならもう少し遅く出てもいいが、なんと言っても今日はクラス発表がある。楽しみなのは俺だけでは無いはずだ。


「行ってきま〜す」


親は共働きで、俺より早く出るため帰ってくる言葉はないが、いつの間にか習慣になっていた。


学校に着くと、すでに多くの生徒が玄関に張り出されたクラス表を見て各々が一喜一憂している。俺は...いた。2組だ。知ってる奴はいるかな。と他のクラスメイトの名前を見ていると


「よぉダイダイ、お前何組だった?」


そう横から声をかけられた。ダイダイとは俺の名字と名前からとったあだ名だ。見ると俺より10センチ以上低い男がいた。名前は萩原はぎわら関太かんた。高校からの友達で何かと話の合う良い奴だ。関ちゃんって呼んでいる。


「おっす関ちゃん、相変わらずちっちゃいな!〜。俺は2組だった。」

「小さいは余計だ。それにクラス変わっちゃったな、オレは1組だった……。」


少し残念そうな顔をする関ちゃん。


「でもいいんだ!なにせコッチにはあの九十九つくもはながいるし!」

「いや、お前は他校に彼女いるだろ」


ドヤ顔で関ちゃんは言った。

九十九華。身長は俺より高い182センチ、顔も整っていて青い髪をショートヘアにしており、ボーイッシュな見た目から女子人気が非常に高い。この学校の王子様的な女子生徒だ。

俺から見てもカッコイイしとても美人だ。1年の時、委員会が同じで少し話した程度だが、顔が良すぎてジッと見つめすぎた気がする


「じゃ、教室行こうぜ!ダイダイ」

「おう」


教室の前まで来て関ちゃんと別れる。まぁ隣同士なんだけどね。


教室に入るとすでに半分くらい人はいた。1クラス40人が6クラスの計240人で1学年。俺は6番なので廊下に1番近く、さらに1番後ろだ。当たりと言っていいだろう。


ホームルームの時間が近くなると、もうほとんどの生徒が揃ってきた。よかった、とりあえず何人か話せる人がいて安心だ。


そしてチャイムが鳴り、ホームルームが始まる。しかし疑問が残る。まだ俺の隣の席の子が来ていない。

おいおい、初日から遅刻か?さっき見た席順だとたしか名前は、佐伯……


「お前ら席に着け〜」


ガラガラとドアを開けながら見知った顔の男が入ってくる。中畑なかはた正樹まさき、今年もこの人が担任なのか。


「おはよう。よし、全員揃ってるな」


何を言ってるんだこの人?俺の隣がまだ来ていないぞ。


「先生、隣がまだ来てませんが...」

「あぁ、分かってる。ということで転校生の紹介だ、入ってこい」

「は〜い!!」


なるほど転校生だったのか。道理で聞いた事のない名前だったんだ。

呼ばれた転校生の元気な声が廊下から聞こえてくる。ていうか今の声的に、勘違いしてたけどもしかして転校生って……


ドアを開き転校生が入ってくる。

桃色の髪を後ろに束ね、葵色の瞳は大きくパッチリと開いている。一言で言えばとても可愛らしい女の子だった。


「皆さんはじめまして。私、佐伯さえきはやてっていいます。親の都合でこの県に来ました。……あっ!」


颯っていうから俺はてっきり男だと思っていた。ダメだなこんな考え方は改めないと。

そんな風に考えこんでいたら、ザワザワと周りがやけに騒がしい。なんだ?と思い顔を上げたら……


「わっ!」

「……ジー」


思わず声を上げて仰け反ってしまった。目の前に超絶美少女、つまり佐伯さんがいた。目大きい!まつ毛長っ!ていうかいきなり目の前にこんな美少女いたら色々な意味で心臓に悪い。


「...えっと〜佐伯さん、何かな?」


ドキドキしながらそう聞いてみる。周りの人も、なになに知り合い?とか可愛すぎだろ!とか色々言っているが、俺はこんな美少女の顔見知りなんていないんだか!?可愛いのはたしかに認めるけど、いや認めるとか言うほど俺がイケメンではないが...とか色々考える。まず向こうも何も言わずに見つめてくるだけでだんだん怖くなってきた。

すると、


「え?……んむっ!!」


突然、唇が近づいてきた。



……キス、された。

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キスから始まる恋物語(ラブストーリー) @rito-x

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