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 だから言ったでしょう、完全に引き払ってしまうつもりはなかったんです。

 そうですか、分かりました、あなたもそんな風にわたしを見るんですね。



 ああ。忘れてましたよ、見ているのはアナタであって、貴方ではありませんでした。ややこしい事ですね。

 

 でもアナタは寄生虫ですから、どうやっても主従留まりでしょう。まったく。か弱いわたしの更にか弱いわたしに成ってしまって、何の意味がありますか?

 計画を立てるのは好きですよ、計画に乗せられるのが嫌なだけです。


 わたしはわたしの計画があった。アナタはアナタの計画があった。それでおしまいのはずが、どうして彼を巻き込んだんです?



 白々しい。わたしが言うのもですけど、こんなのは疑ってかかるべきですよ。

 曰く"良き隣人"だって、隣人が貴方の揺り籠を揺らしてあげますか?

 

 わたしはここ以外におりますから、特に問題はありません。


*****


 一言で寄生と言っても、その形態はさまざまであるようだ(そうらしい)。

 ぼくは早とちりした。てっきりこの契約はぼくと彼の間だけだと思い込んだ。

 まあその通りなのだが、これは文字以上の意味を持つんじゃないか?

 

 それじゃあぼくが何処から来たか考えてみよう、他人の腹から。

 ぼくの発生と成長はひとえにぼく以外から与えられたものだ。

 彼は『ぼく』に寄生した。

 正確には、ぼく以外の全てに。

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