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扉を開ければそこには、われらが部長がいた。
「何やってたんですか」
「ここで話すのか?」
取り敢えずぼくらはみんな部屋に入った。
「何やってたんですか」
「いやいや、ここはもっと心配するような言葉から始まるんじゃないのか」
「とにかく、説明して下さい」
「そういえば、腹減らないか?」
「もう食ってきたよ、部長サン」
両手をあげて言う。
「分かった、白状するよ。」
「実は、ここの前の住人がね。色々手続きをすっぽかして行ってしまったらしいんだ、それでぼくが方々へ出向いて受け取ったり送り直したりする羽目になった。」
「いやあ大変だったよ、どうしてか自転車で半日かけて行ったんだぞ県境まで。そこで何を待ってたと思う?ハハ、迎えに来るまで待ってたんだぞ。」
気になって冷蔵庫を見てみた。
卵三つ、マヨネーズ、醤油一本、そして賞味期限切れのヨーグルト。
そして深い悲しみ。
「イデグチ。お前、腹減ってないか?」
「減ってるけど、決して薄情なキミらのせいなんかじゃないぞ」
「分かってる」
先輩は目配せをする、"とっとと部屋を出ろ"。
「部長、鍵持ってますか?」
「これか?」
渡された鍵を穴に突っ込んで。いや、まず突っ込むことすらできない。
「これ間違ってますよ」
「じゃあ、閉めなくてもいいだろ」
大した心がけだった。
「ドリンクバーのある所がいいな」
「駅前のファミレスでいいんじゃないですか?」
「お前、今日は俺んとこ泊っていけ」
「分かったよ」
そして、意外に素直。そんな訳で僕ら五人は夜遅くまで駄弁りあったけど。
部長は『家出の計画だったんだ』と言ったきり顔を机に沈めて寝息を立ててしまった。
「また明日」
寮生のやつと部長は先輩の家に泊まることになり、ぼくは別れて家の方へ歩いて行った。
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