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訪問者を向かえる彫像は、あまりに堂々としていた。腕を組んで上に伸ばし、自慢の豊満な身体をぼくらに見せつける。ぼくも眠くなった時ああいう風に伸びをやるけど、あそこまで魅力的ではないだろう。
昨日郵便受けを覗くと、青い封筒が入っていた。
ところで。
郵便配達員に会ったことはあるだろうか?おそらく彼らの配送計画には「届け先と顔を合わす」なんてチェックリストはないはずだから仕方ないのかもしれないが、ぼくは顔を見たことがない。いつも走り去っていく背中だけだ。つまり彼らが、制服を着たチンパンジーでも分かりはしないってことじゃないのか?
ポストには新聞と青封筒があり(そろそろ新聞も解約しよう)、伝票が貼りついてあった。
『あて名に尋ね当たりません』
そしてぼくには心当たりがなかった、封筒を出した記憶すら。外側から触ってみると少し厚みを感じるが、何か物騒なモノが紛れ込んでる感触はなかったから、封を切ろうと手をかけて。
のりしろ部分には見慣れない黄色と緑のマリアージュ。さっき貼り付けたみたいに湿ったソレが封筒口を繋ぎとめるのを見て、ぼくはそれを静かに置き、台所から持ってきたジップロックに入れてしまって。
ひとまず、封筒がいつ出されたかだけでも突き止める必要があった。
「24番!24番の方!」
24番はぼくだから、機械から出てきた予約票を見せつける。
「どうも。如何されました?」
「いえ、こんな封筒が届いたもので。」
「ああ。それなら、郵便局に行かれたらどうです?」
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