第8話
☆☆☆
赤い丸を付けた日は4日後の土曜日。
しかし、その翌日からシュンヤの体は重たく、常に大きな石を乗せられているような感じになっていた。
「大丈夫シュンヤ?」
心配そうに顔を覗き込んでくる母親の言葉に返事も返せない。
体は重たく、呼吸も苦しく、そして体の内側から刺されるような痛みが走る。
それが四六時中続くのだ。
シュンヤはベッドの上で何度も寝返りを打って少しでも楽になれる体制を探す。
しかし、何度試してみてもそんなもの存在しなかった。
「今薬を打ってくれるからね」
母親の言葉に視線を向けると、いつもの看護師さんが点滴の準備をしていた。
前回ぼーっとする頭で聞いた母親と医師の言葉を思い出す。
痛みの緩和するための点滴。
これがそれなんだろうか?
副作用はどうなんだろう?
どこかで説明されていた気がするけれど、それも思い出せないくらいの苦しみがシュンヤを襲う。
左腕に点滴の針が刺されて透明な液体が体内へと流れ込んでくる。
しばらくすると体の痛みは和らいできて、同時に頭がフワフワと浮いているような状態になった。
痛くない、
痒くもない。
なにも感じない。
意識があるようなないような、ぼーっとした白い時間だけが流れていく。
その間何度も両親やユナが来ては話しかけてくれていた気がする。
だけどシュンヤはそのどれにも返事をすることができなかったのだった。
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